1. みなし粗利管理
物流職場の管理単位はどれくらいのメッシュでしょうか。年単位?これでは管理していることにはなりません。月単位?多くの会社で取り組んでいるレベルです。でもこれでも少し粗いかもしれません。やはり管理単位は日ではないでしょうか。1日が終わった段階でその日に予定していたことを達成できたのかどうかを把握することが最低限の物流管理ととらえるべきです。生産現場では時間ごと管理を実施しています。また常時デジタル表示で「今」の計画台数と実績台数が見られるようになっておりその意味で管理のメッシュは「都度」ということになります。物流現場でもできるものであれば「都度」管理が望ましい姿だと思います。今それができないのは物流作業計画が細かい時間で作成されていないからです。
では日々管理していく際に必要なものは何でしょうか。まずマクロの視点から見てみましょう。それは物流センターの収支です。その日その日の売上からその日にかかった経費を差し引き、利益を計算します。会社によってそのデータをタイムリーにとれるかどうかがポイントになります。特に経費の部分について費目によっては取りづらいものがあるかもしれません。たとえば出荷梱包に使用する段ボールやエアキャップなどの緩衝材は使用金額を正確に把握できるでしょうか。その日に使った電力や水道費などは把握できますでしょうか。本音で言うと、そういった部分は難しいかもしれませんね。だとしたらその部分は使わない、あるいはみなし値で織り込むやり方もあるかと思います。
しかし、必ず把握しなければならないものがあります。それは人件費です。前日に投入した労働時間を把握し、時間あたり労務費単価に乗じて労務コストを把握します。極論すれば売上高と労務コストだけでパフォーマンスを見ていくことでもよいかもしれません。売上高から労務コストを差し引いたものを「みなし粗利」とします。会社が目標とする営業利益を達成するためにはこのみなし粗利をどの水準に設定すべきかを明確にします。日々の管理の中ではこの水準を達成できていることを確認します。これはセンター長の仕事になります。もし達成していなければ何かしらの対策を打たなければなりません。なぜなら未達のままだと会社全体で目標利益を達成できなくなるからです。
2. 出来高管理
物流現場では日々収支としてみなし粗利を把握していく重要性についてお話してきました。そのポイントは労務コストを把握することでした。これはそれほど難しいことではないのでぜひ取り組んでいただきたいと思います。しかしもっと簡単に今日から管理する方法もあります。それは出来高管理です。一日でどれくらいの業務量をこなしたのかを見ていくやり方です。たとえば出荷業務。KPIを出荷伝票とし、それの枚数を把握していくのです。生産性ですから、枚数と共に投入労働工数も把握しましょう。たとえば一日の出荷伝票が950枚でその日に投入した労働工数が8時間勤務で5人とすれば40時間だとしましょう。そうすると1人1時間あたりの出荷伝票は23.75枚です。この枚数を日々管理していきます。できれば目標値を定めたいところです。その目標に対して日々どうだったのかをフォローしていくことが物流管理だということになります。たとえば目標達成日は◯、未達成日は✖として見ていきます。
ある月の稼働日数が22日とし、◯が13、✖が9だったとしたら、13勝9敗、勝率59%ということになります。物流管理監督者のコミットメントはこの勝率でもよいかもしれません。仮にコミットメントが勝率60%とすれば年間でそれを達成した監督者は合格だということになります。要は日々の管理をいかに容易に、しかも要点をついて日々管理できるか、ということです。背伸びをしすぎて途中で挫折してしまっては意味がありません。会社単位では実際の財務値で見ていきますが、物流センターでは「みなし粗利」を、もう少し容易にしたいのであれば1人1時間あたりの生産性で見ていくことをお勧めします。
3. 労働時間管理
物流管理は物流センター単位で見ていくことも必要ですが、センター目標を達成するためには作業者個人単位でも見ていく必要があります。1人1時間あたり出来高はまさにそれにミートするKPIだといえそうです。ですからこれを使いながら作業者各人が生産性を意識することが大切になってくるわけです。前項の例では1人が1時間にさばける出荷伝票の枚数でした。これは職場、職場で変えていっても構いません。1人1時間あたり運搬量でもよいでしょうし、1人1時間あたりピッキング行数でもよいでしょ...