1. SCMで顧客にアドバイス出来るか
物流は重要、物流改善こそが儲けの源泉などといった言葉が言われ続けています。特に荷主会社においては物流以外の改善はやり尽くした感があり、狙うべきはまだ着手していない物流だ、という話を耳にします。こういった号令はとりわけ上位者が部下に向かってかけることが多いのではないでしょうか。意識の高い上位者の方であれば、自らセミナーに参加して知識と情報を吸収しようとしています。会社によっては物流セミナーに社員を送り込んで学ばせようとしているところもあります。こういった掛け声だけではない、具体的な行動は大切です。掛け声や思いだけでは進歩はありません。
さてこういった物流を学ぶ姿勢は重要ではありますが、業種や会社によって温度差があります。最近ではサプライチェーンが国をまたがるようになり、やむにやまれず物流を学ぶ会社も出てきています。物流業以外の業種では物流ととらえるよりも、サプライチェーンをきっちりとマネジメントしなければならないというニーズからSCMを学ぶところも増えつつあります。では本家本元の物流業界ではいかがでしょうか。常に自分たちの商品を進化させ、魅力あるものにしていくためにはやはり学びが必要になってきます。この場合、小売業の物流はこういったもの、製造業の物流の場合はこう、などと常に顧客のサプライチェーンを意識した勉強に取り組むことが求められます。
この時重要となってくるのが、顧客とのレベルを合わせていく、ということです。できれば物流に関しては顧客よりも上を行きたいところです。もちろん、物流オペレーションでは顧客の上を行っていることは当然です。ここで必要になってくるのは顧客のサプライチェーンの企画業務で顧客にアドバイスできるレベルに達することなのです。これができるようになるためには顧客の求める物流についてしっかりと学ぶ意識が重要になってくるのです
2. SCMを学ぶとは
物流会社が顧客のレベルに合わせる、それよりも上を行くためには相当の学びが必要になってくるのではないでしょうか。ある物流会社の倉庫責任者の方が言われていました。「倉庫の効率を向上させるために在庫コントロールを行いたい。そのために顧客の資材発注業務を請け負いたい。」この言葉には非常に感心しました。大抵の倉庫管理者の方は荷主からは荷物を預かっており、在庫コントロールは自分たちの仕事ではないと。
在庫は発注で決まります。メーカー在庫であれば生産管理で決まります。したがいまして先ほどの倉庫管理者の方はこの2つについて学ぶ姿勢を持っているわけです。当然顧客は発注管理や生産管理については熟知しているわけですから、これと同様の知識を吸収しないと会話が成立しません。だからこそ学ぶ姿勢が重要になってくるわけです。
よく物流業の方はメーカーの方はよく勉強する、と言われます。確かにメーカーの人たちはサプライチェーン管理が必要なためSCMを本当によく学んでいます。その結果、会社によっては物流企画業務について物流会社よりも長けているという結果になるのです。ここで私たち物流を業とする者は負けるわけにはいきません。彼ら以上に彼らの業界の物流特性について学ばなければならないのです。どういうメカニズムで在庫は発生するのか、どうすればサプライチェーン全体のリードタイムを短縮できるのか、物流コストを小さくするための運び方は何がベストなのか、などなど広い領域での勉強が必要になってくるのです。
3. SCM以外の分野を学ぶ姿勢
前項の倉庫管理者の方からはこのようなことも言われました。「ぜひ倉庫内物流の効率について科学的に見てみたい。」このためにIE知識を学び、自ら倉庫の作業実態を数値化し、それに基づいた改善を実施しようと考えているのです。ここまで意識を持って物流を科学的に分析しようという倉庫責任者の方は少ないと思います。しかし、間違いなくこの倉庫は近い将来にビジネスを拡大することができるでしょう。この根源にあるのが積極的に学ぶ姿勢です。そしてその先にあるものはビジネスの拡大です。
話は変わりますが、最近QCの雑誌を見ると製造業以外の業種での取り組みが目立ちます。小売業や病院などのサービス業が改善手法として...