前回の07 入れ子原理に続いて解説します。今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大（抽象化）／縮小（具体化）できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
1. つりあい原理の概要
他の物体を利用して重さなどを軽減したり、空気力、浮力などを利用してバランスを取ったりする考え方です。例えば、てんびん秤が典型的な事例です。
図1. 08 つりあい原理のイメージ図
2. サブ原理の種類と図解事例
a.物体あるいはシステムの重量を軽減させるため、揚力を利用する考え方
飛行船は、飛行機の揚力と違って、空気よりも軽いガスを使って静的に浮力を得ています。
図2. 飛行船（参考文献：土浦市 HP）
b.物体あるいはシステムの重量を軽減させるため、航空力学、流体力学、浮力、その他の力を利用する考え方
リニアモーターカーは、磁気の浮上力を利用しています。車両の超電導磁石が高速で通過すると、自動的に地上の浮上・案内コイルに電流が流れ電磁石となり、車両を押し上げて浮上します。
図3. リニアモーターカー
3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例
・自動車のタイヤ
・コンピュータを扱いやすくするユーザインターファイス
・損益分岐点
・コンピュータを扱いやすくするユーザインターファイス
・損益分岐点
4. 40の発明原理の主な活用法
a.慣習的に使われている方法
問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは，40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法
矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性（パラメータ）が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば，改善する特性で「移動物体の体積」，悪化する特性で「移動物体の面積」を選ぶと，矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
参考文献
1. Darrell Mann 他：TRIZ実践と効用（1）体系的技術革新（創造開発イニシアチブ）
2. 粕谷茂：図解これで使えるTRIZ／USIT（日本能率協会）
3. 粕谷茂：SEのスピード発想術（技術評論社）
1. Darrell Mann 他：TRIZ実践と効用（1）体系的技術革新（創造開発イニシアチブ）
2. 粕谷茂：図解これで使えるTRIZ／USIT（日本能率協会）
3. 粕谷茂：SEのスピード発想術（技術評論社）
