TRIZ/USIT活用法 : 企業の要求と技術者がやるべきこと (その1)
2016-08-24
コスト対策や種々の目的で海外に工場を移すことも盛んに行われています。しかし、コスト競争を行う限り利益を大きくすることは甚だ困難です。従業員を含めた日本の会社が生き残り発展していくには新しい技術を作り、新しい商品を出していくことが必要です。知的財産権の保護は言うまでもありませんが、後進国あるいは後発メーカーが追いついてくる前に次の新技術を開発するというスピードが必要なのです。
経営者も従業員も新製品を出したいという気持ちと意欲は十分にあるでしょう。しかし、ユーザニーズは多様化し、しかも、高度成長期のように作ればどんどん売れる時代でもありません。かつての古きよき時代のイメージを引きずっていて、競争に勝てないあるいは商品開発が遅いのは技術者の知恵の出し方が足りない、ガンバリが足りないと思っている経営者・リーダーが多く、技術者自身もそう思ってしまっているケースが見られます。
その結果、社長や本部長の号令の下、新製品を市場に投入しようとするが開発に時間がかかってしまい、なかなか出せない。意欲だけが空回りして技術者が疲弊してしまっている、もしくはあきらめの気持ちを半分いだきながら微かな希望を頼りに頑張っている。ようやく開発してもすでにタイミングを逃していて市場からは冷めた目で見られてしまったり、安価な類似競合製品がすぐに現れて売り負けてしまう。そこで更に新製品/改良品の開発に挑まざるをえない・・というサイクルに陥っていませんか。
図1.企業の現状ととるべき対策
図1で表されるように殆どの会社では、会社から技術者・技術部門に要求があっても、市場が求める最高の商品を作り出すこと、さらに新しい技術・商品を出し続けること、またこれらをタイミング良く結果を出すことができていません。大幅に進展を生み出せる組織に生まれ変わらせることが自社内の人材を集めて頑張ってもらっても困難だと思ったら、何らかの見直しが必要です。
ブレーンストーミングでアイデアを出そうとしても自分たちの経験知識の中からしか生まれないために、なかなか革新的な商品にたどりつけなかったり、ヒラメキに頼って時間をいたずらに浪費してしまう、といったことを避けるには、「科学的な創造的思考方法」を用いてアイデアを生み出すようにすることが一番です。
会社としては今までのやりかたを変えると宣言し、その方向に推進することです。科学的な創造的思考方法の利用によって、技術者が持っているそれぞれの(潜在的な)力を十分に引き出せて、尚且つ、技術者のそれぞれの力を掛け合わせたものとして使うことができ、組織として最高の結果を短時間で得られるようになるのです。
次回は、その2として、技術者がやるべきことは何かを解説します。そして、その3では、最高の解決策を短時間で手に入れる:TRIZの解説を行います。