Advanced 40の発明原理: 39 不活性雰囲気利用原理 (安定化させる、酸化を防ぐ:Inert atmosphere)

 今まで、何処でも誰でも使えるTRIZツールづくりを試行してきました。その過程で、抽象化思考の苦手な人が、意外に多いようです。現場では、課題だけでなく、発明原理の活用にも抽象化思考が求められます。この最新版は、各々の感性に合せ、無意識的に拡大(抽象化)/縮小(具体化)できるよう工夫しました。つまり、原理名、言い換えた分かり易い文言、サマリー、サブ原理の図解、異分野適用例の5段階の視点でアイデア出しします。
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1. 不活性雰囲気利用原理の概要

 
 「38高濃度酸素利用原理」の反対の原理です。空気や酸素による酸化防止のために、不活性ガスを使用したり、真空にしたりする考え方です。例えば、溶接中にアークと溶融金属とを覆い空気の侵入を防ぎます。また、アルゴンガスを、電球内に封入することで、金属フィラメントの劣化を防止します。
 
                                            
                                         図1. 39不活性雰囲気利用のイメージ図
 

2. サブ原理の種類と図解事例

 

a.通常の環境を不活性なものに取り替える考え方

 
 真空管は、酸素や窒素があると電極から効率よく電子が飛ばないため、容器(ガラスや金属等)の内部を真空にしたものです。
 
                                                     
                                                               図2. 真空管
 

b.中性な部品や不活性要素を、物体やシステムに加える考え方

 
  吸音バネルは、複雑に編み込まれたポリエステルの充填材により、会議室や応接室等の音声反響を軽減させます。
 
                                           
                             図3. 吸音パネルの使用例(参考文献:コクヨ株式会社 HP)
 

3. HW、SW及びビジネス等分野での適用例

 
     ・窒素ガス消火器
     ・ウィルス ワクチン ソフト
     ・内部統制( コンプライアンス )の強化
 

4. 40の発明原理の主な活用法

 

a.慣習的に使われている方法

 
 問題が発生したときは、パニックになったりして精神的な余裕がないようです。矛盾問題として捉え、課題を抽象化してから矛盾表から発明原理を検索するには、かなりの訓練が必要です。推薦したいのは40の発明原理に日ごろから親しんでおくこと。あるいは、真の目的または根本原因を確認後、関連しそうな発明原理を全部スキャンして発想すること。TRIZそのものを理解していなくても、藁にもすがりたい人には、強力なヒントとなります。
 

b.矛盾Matrixから発明原理を抽出する方法

 
 矛盾 Matrix表の縦横の軸には、39×39の特性(パラメータ)が配置されています。課題を抽象化して、縦軸から「改善する特性」、横軸から「悪化する特性」を選ぶと、両者の交点に「発明原理(principle)」が提示されます。 この発明原理をヒントに解決策を発想します。例えば,改善する特性で「移動物体の体積」、悪化する特性で「移動物体の面積」を選ぶと、矛盾 Matrix表の交点に、「01分割原理」「04非対称原理」「07入れ子原理」「17他次元移行原理」を確認できます。
 
参考文献
 
    1. Darrell Mann 他:TRIZ実践と効用(1)体系的技術革新(創造開発イニシアチブ)
    2. 粕谷茂:図解これで使えるTRIZ/USIT(日本能率協会)
    3. 粕谷茂:SEのスピード発想術(技術評論社)
 
 

◆関連解説『TRIZとは』

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