TRIZ/USIT活用法:企業の要求と技術者がやるべきこと (その2)
2016-08-25
技術者研究者がそれぞれの分野の知識・経験を「ある程度」持っていることは必要です。しかし電気工学とか高分子化学とかいった知識を十分に持っていれば、新しい電気製品や新しいプラスチック製品が生まれるわけではありません。しかも、一般に技術者は次の表1 のような性格を持っています。
表1.技術者研究者が持っている性格
これらのすべての項目が技術者研究者の全員に当てはまるとは限らないが、程度の差はあるにせよ大半の項目が適合していると思われます。どの項目も一面から見ると決してまずいものとは限らないが、別の面から見ると好ましくないことでもあります。技術者研究者というのは自分を含め、上司も部下も同僚も表1のような性格を持っていると考えるべきです。
実際に課題を解決しようとすると技術者は図2に書かれたような悩み・迷いを持ちながら、課題を達成しようと「頑張り」ます。
図2.課題解決の進め方の悩み
技術者研究者は表1のような性格を持っていて、しかも図2のような進め方の悩みをかかえているということを前提として課題を解決するにはどうしたらよいか、と言うと、それには技術者研究者が科学的な創造的思考方法を身につけてそれを利用していくしかありません。
それぞれの分野の知識・経験を一杯身につけても新しい技術や商品はなかなか生まれないし、竹槍を持って精神力で頑張って敵と戦っても勝てません。自分の持っている知識(固有技術)だけでなく、すでに知られている技術を利用する(管理技術)こと、また自分を含めた周囲との組織的な活動(人と組織のマネジメント)が求められるのです(図3)
図3.技術者に必要な素養
しかし、すでに知られている技術を利用すると言っても情報が洪水のごとくあふれている現在、むやみに情報を集めても役に立たないどころか混乱に拍車をかけるだけです。上手に利用するためには、解決の「方向」を見据えて、考える「道筋」を手に入れてアイデアを生み出す方法を身につけることが必要です。
そのような方法とはどういうものかを次回のその3で解説します。次回は、最高の解決策を短時間で手に入れるです。