3.HMD:ヘッドマウントディスプレイの応用例
HMD(ヘッドマウントディスプレイ)は製造ラインの業務支援・検査にとどまらずサービス業、卸売業、建設業、保守メンテナンス業など、様々な業界で応用が可能です。その応用例は下表の内容です。
カメラ、マイク、ヘッドセットなどを組み合わせ、コンピュータに接続することでアイデア次第で、様々な用途として使うことができます。
(1) 案内(ガイダンス)
・商品説明:価格、使用方法や機能の説明など表示
・作業手順:工場の作業や機械設備の操作手順など順番に表示
・ピッキング・仕訳:バーコードリーダーと組み合わせ発送先等の表示
・検査規格:製品や材料の重量成分などの検査規格表示
・レシピ:材料の種類、量の表示、調合手順の表示
・遠隔指示:カメラとヘッドセットと組み合わせ、操作手順など遠隔指示
(2) 解析・修理
・トラブルシューティングガイダンス:故障診断項目の表示
・修理手順指示:修理箇所、修理手順の表示
・チェックシート表示:点検項目、検査項目の表示
(3) 結果表示
・成分分析結果:測定結果の表示
・検査結果:温度や成分分析器などの測定系結果表示
・在庫確認結果:理論在庫を表示し、現物調査結果と照合
・計算結果:カウンターと組み合わせカウント値の合計計算結果表示
・作業履歴・結果:作業モレ、確認漏れの表示
(4) 教育ツール
・新人教育ツール:作業マニュアルの表示
・OJTツール:作業マニュアルの表示
・熟練技能の継承:熟練作業手順の表示
これらの応用例は、すべてAR:Augmented Reality技術(拡張現実)が使われています。つまり、現実の風景に情報を重ね合わせて表示する技術で、たとえば、ヘッドマウントディスプレーを通して現実の機械を見る際に、機械の各部の名称を表示したり、交換すべき部品の画像を表示したりすることができます。
前回までの、
その1、
その2で解説のように、IoT「モノのインターネット化」とは「ありとあらゆるモノ」がインターネットにつながることですが、ただ繋がるだけでは何の意味もありません。IoTシステムにおいては、以下の機能が基本的な流れとなっています。
① 現場から情報を取得する
② ネットを経由して「コンピュータ」にデータを蓄積する
③ 蓄積されたデータを分析する。
④ 分析結果に応じてヒトや企業に有益な付加価値を提供する
・現場の見える化
・生産性の飛躍的向上
・品質の飛躍的向上
・コストの飛躍的節減
・人の有効利用
IoTとは、ただ単にモノがインターネットにつながることではなくモノから情報を取得し、それを利用して、工場の現場でどのような問題を解決するのかまでを考えることなのです。
4. AR(拡張現実)技術を使った応用事例
ICTとは、「Information Communication Technology」の略語で、直訳すると「情報通信技術」です。ちなみに、ITとは、Information Technology」で「Communication」という単語が含まれていません。ITは、「情報技術」であり、業務効率化を目的とした仕事のOA化を進めるための技術そのものを指していました。
現在では、「IT技術」によるOA化はもはや当たり前となっていますが、インターネットが普及した現在では、情報をやり取りする技術が進んでいることから、「ICT」は、より通信機能が高機能化した技術と言うこともできます。しかしながら明確な区別はなく、結論から言うと「IT」と「ICT」は、ほぼ 同じ意味と捉えられます。
一方で、ITが経済の分野で使われることが多いのに比べ、ICTは主に教育、医療、介護・福祉などの公共分野、公共事業の分野で使われることが多いといえます。これは、ITとは経済産業省の用いる用語であるのに対して、ICTは総務省の用いる用語だからと考えられます。IT、 ICT、 IOTなどの紛らわしい言葉が氾濫していますが、厳密な区別は付けにくいのです。商売のネタにしようとこれからも新しい言葉が意図的にばらまかれますが、これらに踊らされないように気をつけましょう。
5.ARとVRの違い
ARとVRの違いは何でしょうか。ここでは、製造業におけるVRの活用方法について解説します。
(1) VRとは仮想世界に現実を反映させる技術
(仮想現実:Virtual Reality:バーチャルリアリティ)VRは、現実ではないが現実のように感じさせる仮想世界に現実の人間の動きを反映させる技術のことをいいます。仮想世界は現実ではありえないものも簡単に再現することができます...