熟練技能の継承手順、訓練の進め方
2017-04-05
中小企業では、定年退職になる職人が多く、新人にその技能を引き継ぐのですが引き継ぎ完了したはずが、思い通りの製品が出来ずに、不良も多発しているのでどうしたらいいか悩んでいる企業も多いと思います。原因を追究すると、先人から引き継いだマニュアルを守っておらず、感覚や思い込みで作業してしまう傾向にあり、そう思っていたとか、そうだと思ったとかに行きつきます。
熟練者の技能は、なかなか口では表せられない暗黙知的なものが多く実際に体験しながら身に付けて行かなければなりません。そこで、作業の「引継ぎ」の問題、「マニュアル」の問題の2つに分けて考えてみたいと思います。
先人は、長年にわたって失敗を繰り返しながら今に至ったのであって、一通りの引継ぎが完了したからと言って、すぐに先人と同じように作業ができるようになるとは限りません。この場合、段階的なOJT実施計画に基づいて、作業を教え実際に作業をさせて、結果を評価することを繰り返しながら、自立して作業ができるかどうかを見極める必要があります。特にどの作業で、どんなミスを犯しやすいのかを良く観察し、正しい作業ができるまで集中的に繰り返し教える必要があります。その場合重要なことは「こうせよ(HOW TO)」よりも「なぜそうするのか(KNOW WHY)」を理解させることです。
マニュルをなぜ守らないのか、なぜ見ないのかを考えてみる必要があるように思います。マニュアルが、見づらいのか、内容が分かりづらいのか、またマニュアル通り作業してもうまくいかないのかなど、作業者の意見を聞きながら、見直すべきところは見直すことが必要です。
特に、なかなか文章では表せられない暗黙知的な技能については、それぞれ勝手な感覚や思い込みで作業しがちです。そこで熟練者がマニュアルを作成するのではなく、むしろ作業を熟知していないが、物事を科学的に分析できる能力を持った第三者によって、熟練者の意図をくみ取りながら作成し、その内容で実際に作業し検証を行います。
また、熟練者の作業をビデオ撮影し、熟練者と一緒にそれを見ながら共同でマ...
ニュアルを作成、実際に作業を実施し、突合せを行う方法も有効と思われます。一般的に、現場では、マニュアルを見ながら作業を行うことはありません。マニュアルの内容、手順は事前教育によって頭の中に入っていなければならずそうでない場合は生産性は低下し、ミスも誘発します。もしどうしても、現場に貼りつける必要がある場合は、簡単な手順フローや、注意事項を箇条書きにするなど、見やすいものに限定します。