FMEA簡易法実施手順 (その3)

【FMEA簡易法実施手順、記事へのリンク】

1.具体設計プロセス

2.アレンジ設計における新規点・変更点リスト

3.故障モードリストと故障モード抽出表

 

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 前回までの解説で、設計の考え方を根本から転換する必要性について解説しました。また、問題点の検討が漏れやすい変更点・新規点の記録を、設計過程で残すべきとの見解を述べました。今回は故障モードに注目した設計を行うためのツールである、「故障モードリスト」と「故障モード抽出表」について解説します。

◆関連解説『FMEAとは』

 

1. 故障モードリスト

 故障モードリスト(一覧表)は、効率的なセルフFMEA、FMEAレビューを実施する際に、漏れがなく効率的に設計が可能となる有効なツールと言えます。しかし、故障モードがどのようなメカニズム(環境条件や使用条件)で発生するのか、また製品にどのような重大な影響を与えるのかについて予測しなければなりませんが、このリストだけでは漏れるおそれが出てきます。

 以下に電子部品の抵抗器の故障モード一覧表の例を示します。

 

 

2. 故障モード抽出表

 そこで、過去の不具合情報を収集、解析を行って「故障モード抽出表」を作成します。不具合情報は、NITEなどの公開されている市場情報、社内の過去トラブル集などから、不具合(故障・事故)の発生状況、発生原因を故障モード、原因をキーワードとして一覧表を作成します。

 キーワード検索を行うことによって、過去に発生した故障・事故の情報が得られるため、漏れがなく対策を行うことが可能になります。市場に流出する不具合は、ほとんどが過去に発生している問題であるため「故障モード抽出表」を参考にすることによって、対策の漏れを防ぎます。

 

 例えば「錆」という故障モードはだれでも考え付くことができます。しかし、これから採用しようとする部品が、どのような場合に錆が生じその錆がどのような重大な事故につながったのか?経験したことがなければ、故障モード→「錆」→原因→「高温・高湿環境で発生」→影響→「部品の腐食」というように一般論で片付けられてしまう恐れがあります。しかし、ある製品の部品は次のような事故が発生します。

 故障モード→「錆」→原因→「沿岸地域で使用」→影響→「腐食によるガス漏れ」

 この例の様に、部品の使用環境、使われ方によって大きな事故につながる恐れがありま...

す。設計時にはその部品の市場での使われ方を想定し、採用する必要があります。そのヒントを与えてくれるのが「故障モード抽出表」なのです。故障モード抽出表の例を以下に示します。

 不具合の内容は、「平成29年度自動車のリコール届け出内容分析結果について(国土交通省)」の事例を基に作成したものです。

 

 次回のFMEA簡易法実施手順 (その4)に続きます。

 

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