4M変化点管理の目的と4つのポイント

 4M変化点管理(4M変動管理)を行う目的は何でしょう。重要なキーワードは「異常」「先手管理」「重点項目」「予測できる変化点」「予測できない変化点」です。取引先からの要望で変化点管理を実施しなさいと言われることがよくあります。取引先は一体、どのような意図をもって要望を出しているのでしょう。
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1. 不具合の発生を未然に防止する方法

 
 
 上図の通り、不具合の発生を未然に防止する方法は3種類あります。その仲の4M変化点管理(4M変動管理)は、設計が終って製造を行っている間に実施する管理のことで、日常の主な管理はすべて4M変化点管理と言っても過言ではなく、多品種少量生産時代においてますますその重要性が増加しています。
 

2. 4M変化点管理の目的

 それでは4M変化点管理とは何でしょうか?物事を行うのには、その目的と手段、そしてその効果を知る必要があります。まず4M変化点管理の目的は、「不良の前兆を捉え、対策する」です。そのことによって、顧客の要求であるQCDを確保できるのです。そして「初期流動管理」「異常の検出・対策」「重点管理」などが、その手段に相当します。最後の効果としては、不良や納期遅れが出る前に、事前にその「芽を摘んでしまう」ことで不良を発生させない、流出させない、納期遅れを起こさないという点が挙げられます。
 

3. 4M変化点管理の必要性

 「不良の前兆を捉え、対策する」のが4M変化点管理の目的ですが、そのためには工程設計や人材教育を万全に行ってから生産を開始することが前提です。今の時代、市場から多品種少量生産、短納期要求を突き付けられ、これら万全の準備が行えない状況になっています。そのために4M変化点管理は、工場の日常管理における最も重要な位置付けになっているのです。いくら予防対策の仕組みを万全に講じても、生産現場では、変化点がきっかけとなって不具合が生じてしまいます。様々な変化点が生じても、不具合が生じないように管理する必要があるのです。変化点管理は、予防対策とも捉えられますが、もうすでに生産が始まってからの管理なので、厳密には予防対策とは言えません。予防対策は生産を始める前に工程設計段階で講ずる処置のことです。この予防対策の不備によって不具合が発生しないように管理すること、これが変化点管理の本質です。
 

4. 4M変化点管理の手順

 変化点管理の位置づけと目的が明確になったら、次に自社の工程で、何を管理すれば不具合が発生しなくなるのか、項目を抽出して管理方法を決めます。意図的であれ、意図的でない変化点であれ、工程が乱れないように管理する項目を決め、日常管理の中で手順化しておきます。
 
異常・・・不良ではないが、放置すると不良につながる現象(異音がする、寸法管理限界値を超えた、初物、中間、最終チェックで寸法が変化した)
 
不良(不具合)・・・寸法規格はずれ、検査不良、機械の停止、ヒューマンエラー発生
 
 不良(不具合)が発生する前に異常を検出して速やかに対処し、不良を未然に防止する、あるいは、不良が次工程へ流れないように管理する、それが「先手管理」であり、何に重点を置くか(重要部品、重要工程)を決めて管理を行うことを「重点管理」と言います。
 

5. 4M変化点管理で重要な4つのポイント

(1) 異常を定義するために点検項目、手順、判定基準を明確にします。これは、先手管理を行うために、自社の今までの実績や経験から抽出すべき内容であり、世の中で決まっているわけではありません。異常が発生するのは何らかの変化が生じていると考えられるので、その変化を突き止めて対策を講じます。
(2) すべてを均一に管理することはできないので、重要製品、重要寸法、重要工程などを決めて点検点・管理点を定義します。重点管理では、一般の管理とは異なり、異常の監視周期の頻度を上げて、工程の点検項目・品質特性の監視項目を増やすなどの管理方法を取り、異常を漏らさず検出します。
(3) あらかじめ...
予測ができる変化点発生時の管理を明確にします。設計変更、工程変更、段取り替え、人の交替など、それぞれに応じて(1)、(2)を適用します。 
(4) 予測できない突発的な変化点発生時の管理を明確にします。停電、不具合発生による作業中断、機械の故障など、それぞれに応じて(1)、(2)を適用します。 
(5) 異常状態や管理すべき変化点の項目をリストアップし、それを誰もがわかるように見える化します。また下図のように、処理ルートや管理責任者を決めます。
 
 
 4M変化点管理は、日常管理の大部分を占める重要な管理であり、管理監督層は「異常」「重点項目」「予測できる変化点」「予測できない変化点」などの管理方法について、明確に答えられるようにしておかなければなりません。変化点管理ボードは以上のような管理手順を明確にした上で、何を表示し管理するのかを決めておく必要があります。 

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