作業時刻 PERT(その3)

 

【PERTの連載目次】

1.スケジュール管理に使われる工程表
2.基本用語と基本ルール
3.作業時刻
4.余裕時間
5.クリティカルパス
6.日程短縮
7.フォローアップ
8.配員計画
9.最小費用による日程計画
10.まとめ及び用語の意味

3. 作業時刻

 
 ネットワークは、作業順序の組み立てが終わり、図が完成すれば、次には時間の要素を組み込んで日程計画を立てることになります。工事は納期が決められているので、この時間的制約条件に対してそれぞれの作業時間を調整します。その管理に必要な管理時刻等を次に述べます。
 

(1)最早開始時刻

 
 その結合点◯iにおいて、作業◯i→◯jが最も早く開始できる時刻を最早開始時刻と言います。最早開始時刻の表示方法は、このテキストでは図3.1のように▢で表示します。
 
図 3.1、最早開始時刻の表示
 
 いま図3.2のようなネットワークの場合、時間計算の手順として、矢線の尾の接する結合点の最早結合時刻にその作業の所要時間を加えて矢線の頭の接する結合点の最早開始時刻とします。スタートを0として、①→②の作業に3日かかるとすれば、結合点②から後続する作業の開始可能日は3日になります。ただし、結合点④のように2つの作業が先行している場合には①→②→③→④の経路で8日間、①→②→④の経路で6日間となります。したがって、④の最早開始時刻は8日間となります。つまり、先行する作業群の最早終了時刻のうちで最も時間の多いものが後続作業の最早開始時刻となるわけです。このようにして最終結合点の最早開始時刻16日が求められます。これが計画の所要時間となります。
 
図 3.2、最早開始時刻を求める
 
 図3.2の各結合点の最早開始時刻の計算方法は図3.3のようになります。
 
図 3.3、最早開始時刻の計算方法
 

(2)最遅終了時刻

 
 工事を所要時間内に完了するために各結合点が遅くとも終了しなければならない時刻を最遅終了時刻といいます。このテキストでは図3.4のように ■ で表示します。
 
図3.4、最遅終了時刻の表示
 
 これは最終結合点の最早開始時刻を所要工期として最早開始時刻の計算とは逆に、先行作業の所要時間を図3.5のように、順次引き算で求めます。例えば結合点④の最遅終了時刻は結合点⑤までの所要日数13日から④→⑤の所要日数2日を引いた11日とします。しかし、結合点②は、②→④の経路で計算すると8日(11―3=8)に終了していれば所要時間に間に合うが、②→③の経路では3日(8―5=3)に終了していないと間に合わなくなります。したがって、結合点②のような最遅終了時刻は3日となります。図の ■ 内の数値が最遅終了時刻になっています。結合点②のように矢線の尾が2つ以上ある結合点については最小値を選びます。最早開始時刻と最遅終了時刻は、工数管理上次のような需要な意味を持ちます。
 
① 暦日との関連を付けられる。
② 余裕時間(フロート)計算の基となる。
③ 最早開始時刻=最遅終了時刻の結合点は、クリティカルイベント(Critical Event)と呼び、後述するクリティカルパス(Critical Path)は必ずそこを通る。
 
図3.5、最早開始時刻・最遅終了時刻・結合点
 

(3)最早終了時刻

 
 その作業が最も早く完了できる時刻のことで、その作業の最早終了時刻に作業の所要時間を加えたものになります。作業◯i→◯jの最早開始時刻をtE/j、Tijとすると
 
作業◯i→◯jの最早終了時刻=tE/j+Tij
 
 図3.2における作業②→④を例にとると、最早開始時刻は3日、作業の所要二巻は3日であるため、最早終了時刻は6日となります。
 

(4)最遅開始時刻

 
 その作業が遅くともその時刻に...
開始されなければ、予定工期までに完成できないと言う時刻のことです。その作業の最遅終了時刻からその作業に要する所要時間を引いたものです。作業◯i→◯jの最遅終了時刻をtL/j、Tijとすると
 
作業◯i→◯jの最遅開始時刻=tL/j ―Tij
 
 図3.5における作業②→④の最遅終了時刻は11日、作業の所要時間は3日であるため最遅開始時刻は11―3=8日となります。
 
◆関連解説『プロジェクトマネジメントとは』

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