一般的にしくみとは、①組織 ②制度 ③プロセス ④コンピュータシステムなどを指します。しくみ化とは、処理をコンピューター化する意味だけではなく、決められた通り仕事の流れ(プロセス)が守られるように、全体を整えることです。そうすることによって、いつ、誰が、何度やったとしても、良い成果が出せるようになります。
特に、設計の仕事の進め方は「人に依存」します。効率のよい仕事の進め方をする人もいれば、遅い人もいます。また間違いが多い人もいます。設計業務をしくみ化するというのは、設計者の仕事の進め方を、属人的なやり方を極力廃し、決められた仕事の流れを前提に、うまく流れるように設計のシステムを構築します。各企業がどのようなしくみを作るかどうかは、その目的によって違ってきます。目指すものが不明確のままで、システム化しようとしたり、手法の導入することを目的としたりしたしくみは期待した効果は得られません。では、設計のしくみの「目指すもの」とは何でしょうか?
1. IATF16949(TS16949)の要求事項
2016年10月、ISO9001:2015を基準とした自動車産業向け品質マネジメントシステム規格として、IATF16949が発行されました。これは、従来のISO/TS16949に替わる、自動車産業の品質マネジメントシステムを対象とする国際規格です。
2. 設計品質作り込みのしくみ
ISO9000、IATF16949を参考に、設計のしくみをどのように構築していったら良いかを考えてみます。IATF16949では、不具合発生前にリスクを削減、低減させるため、潜在的故障モードの想定妥当性確認などを実施し、市場クレームなどを減少させていく仕組みの構築を求めています。これは、自動車のみならず、あらゆる製品の設計に共通した課題であると考えられます。設計品質作り込みのための重要なポイントは次のようです。
①市場あるいは顧客の要求事項を確実に設計にインプットさせること
②市場あるいは顧客の暗黙の要求事項、法的な制約を確実に設計にインプットさせること
③市場あるいは顧客に受け入れられるタイミング、価格でより付加価...