パラメータ設計とは、システムの機能(働き)を最適化するための設計の方法を指します。つまり、市場で問題を起こさないために、システムを構成する各設計パラメータの水準(値)を、統計的な考え方を応用して決めようとするものです。そういう意味では、未然防止の設計を実現するための方法論ともいえそうです。
パラメータ設計は、一般的に「品質工学」と呼ばれているもの一分野ととらえてください。特に、開発設計や生産技術の最適化に使われると効果的です。もちろん、製造現場で生産条件を最適化する場合にも使えます。図1に品質工学の全体構成を示します。
図1.品質工学の全体構成
◆関連解説記事『パラメータ設計 (その1)』 『パラメータ設計 (その2)』
1. パラメータ設計の構成
パラメータ(制御因子)設計は、エンジニアリングシステムが市場問題を起こさないように、システム内の各パラメータの条件を決めることです。そこで着目するのはシステムの「品質」ではなく「機能」である事が特徴です。品質工学の創始者「田口玄一」博士は、「品質を上げたければ、品質を計るな」という名言を残していますが、これは「品質」とはエンジニアリングシステムの特性の一部を表しているにすぎず、これを改善するだけではもぐらたたきに陥ってしまう危険性を指摘していることに他なりません。エンジニアリングシステムの性能向上や品質向上のためには、その「機能」に着目して改善を行うべきだとの立場からの発言です。
パラメータ設計の全体構成を図2に示します。これを見ていただくと、システムの機能を思想の中心にとらえて、効率的に最適条件を見つけて行くための数々の手法が存在することが分かります。つまり、エンジニアリングシステムの機能をどのように定義して、それらをどう効率よく改善していくかが、パラメータ設計の肝になるわけです。
図2 パラメータ設計の全体構成
2. パラメータ設計の手順
パラメータ設計では通常、エンジニアリングシステムの「機能」を明確にすることから始めます。その後、それをシステムの入力(信号因子)と出力(特性値)の関係性で理想機能として定義し、理想機能を実現するために直交表を使って効率よく実験を行い、SN比と感度でそれぞれの制御因子の効果の大きさを把握します。その後、要因効果図から最適条件と比較条件を決めて、それぞれの工程平均値を求めて改善の大きさを予測し、最後に再現実験を行って最適条件の利得の再現性を検証するというのが一般的な流れです。
図3 パラメータ設計の手順