【PERTの連載目次】
1.スケジュール管理に使われる工程表 2.基本用語と基本ルール 3.作業時刻 4.余裕時間 5.クリティカルパス 6.日程短縮 7.フォローアップ 8.配員計画 9.最小費用による日程計画 10.まとめ及び用語の意味
8. 配員計画(マンパワースケジューリング)
(1)概要
ネットワーク上の工程計画が、技術者、作業者等にとって経済的でかつ合理的であるように各作業の作業時刻及び人数等を決めることを配員計画(マンパワースケジューリング)と呼びます。
具体的進め方は、作業を進めるために必要な人、モノ等の資源を各作業につて考え、同種類の作業者。モノ等について日々の累計を算出し、大きなピークを生じたときにはネットワーク上の余裕時間を利用して、人員、資機材の量を平均化してあげます。
(2)山積みの方法
山積みの計算は配員計画の基本となるもので、日程計算で決められた作業日程通りに業務を進めていくものと仮定した場合の計算法です。山積みの出し方には、最早時刻の場合と、最遅時刻の場合の2つを行うことができます。その手順は次の通りです。
① 完成されたネットワークの作業に、各職種別の所要人数、機械、資材の量を1日当たりで記入する。つまり、日程計算を行い、何月何日にどういう職種の人員が何人必要かを表す。 ② 日程計算の結果を最早時刻または最遅時刻に合わせて、タイムスケールで表示する。 ③ 縦線間の作業で必要な人員について集計する。 ④ 山積み図を描く。
この手順に従って、図8.1のネットワークを例にして、山積み表を作成してみましょう。
図8.1 ネットワーク(例)
図8.1の矢線上における( )内が、その作業に必要な1日当たりの作業者数を示します。これを日程計算して最早開始時刻でタイムスケール表示したものが図8.2(a)です。縦線間の人員数を集計したものが図8.2(b)です。そして、その山積み図が8.2(c)になります。例えばB作業は4日間で3人、D作業は2日間で4人を描いたものです。作業が重なっているときはそのまま積み重ねます。
同じように最遅開始時刻の場合が図8.3になります。この両方の山積み図は、作業者の必要人数が日によって多い少ないがあり凸凹しています。バランスがとれておらず不経済な工程であることを示しています。なお、 ■ 部はクリティカルパス上の作業の山積みです。
図8.2 最早で作業した場合
図8.3 最遅で作業した場合
(3)山崩しの目的
山積みしてみると、多くの場合凸凹があり極めて効率の悪い計画であることが分かります。その凸凹を平均化させるのが山崩しの目的です。山崩し計算は、日程計算で分かっている作業の余裕日数を利用して、いくつかの作業の開始を遅らせることで平均化を図ります。つまり、最早開始計画と最遅開始計画の間で、可能な範囲内で余裕を移動すればよいのです。ただし、作業の順序関係、人員の制限条件は満足しなければなりません。手順は次のようになります。
① 最早開始時刻による山積み計算を行う。 ② 作業者の制限数を超えるところで(この場合は作業者7人)、余裕日数の範囲内で作業の開始を遅らせる。作業の優先度には余裕日数をとり、その小さいものほど優先度は大とする。 ③ 工期全体に渡り②を繰り返す。
つまり、人数の手持ち制限以内で、作...
業の余裕日数に合わせて作業を進め、最大余裕時間の小さい順に作業を進めます。そして、最大余裕時間が同じ場合には作業時間の短い方から開始します。ただし、クリティカルパスは最優先とし、その経路の作業に人員割りあれが不可能な場合には、すでに作業中の仕事でも余裕のある作業から、このクリティカルな作業に回して作業を中断させます。その山崩しの計算は図8.4のようになります。この場合、手持ちの作業者は7人とします。
図8.4 山崩しの計算
(その1)
(その2)
(その3)
(その4)
(その5)
(その6)
(その7)
(その8)
(その9)
(その10)