わかりやすい答案を書く(技術士第二次試験対策を例に)

更新日

投稿日

 例年、夏に実施される、技術士第二次試験の記述式試験で書く答案の書き方を例にわかりやすい答案を書くにはどうしたらいいのかを解説します。
 

1. 試験の合格に必要なこと

 
 試験の合格に必要なこととは、合格点が取れる解答を考えるための技術力を持つことわかりやすい答案を書くことです。このうち、「合格点が取れる解答を考えるための技術力」が合格に必要なことはすぐに理解できると思います。この技術力とともに、わかりやすい答案を書くことも合格に必要なこととの認識も持ってください。
 
人材教育
 

【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポイントについての記事を紹介しています。

2. わかりやすい答案とは

 
 わかりやすい答案とは、試験官に解答が明確に伝わる答案のことです。まず、わかりにくい答案の例を示します。以下のような問題が出題されたとします。
 

【問題】

 
 地球温暖化の原因の1つとして二酸化炭素の増加があります。あなたが考える二酸化炭素の増加を防ぐ対策を書きなさい。
 
 ここで、以下のような解答を書いたとします。
 

【解答例】

 
 私の考える対策とは、以下のような対策を行うことである。
 
① 冷房の設定温度を1℃高く、暖房の設定温度を1℃低く設定する。
② 風呂の残り湯を洗濯に使う。
③ 買い物に行くときには買い物袋を持参する。
 
 この解答には、二酸化炭素の増加を防ぐ対策がいろいろと書かれています。しかし、この解答を読んでもこの書き手の考えが明確に伝わりません。この解答を読むと「対策がいろいろと書かれているが、結局、何が言いたいのだろう?」と思います。
 
 これが、わかりにくい答案の例です。わかりにくい答案を読むと、「結局、何が言いたいのだろう?」と思います。すなわち、わかりにくい答案では、試験官に解答が明確に伝わりません。
 
 わかりやすい答案とは、これとは反対に、「このような解答を考えたのか」のように書き手の考えが明確に伝わる答案のことです。
 

3. わかりやすい答案の書き方

 

3.1 わかりにくい答案を書く原因

 
 頭の中で交通渋滞が発生していることが、わかりにくい答案を書く原因です。問題を読みその解答を考えているとき受験生の頭の中は、「あれを書こう」、「あれも書かなきゃ」のような状態、すなわち、頭の中がごちゃごちゃな状態になっています。これが、頭の中の交通渋滞です。
 
 交通渋滞が発生した状態で答案用紙に解答を書くと文がただ並んでいるだけのような答案になります。このような状態で書かれた答案は、わかりにくい答案になります。
 
 前項で提示した解答例は、頭の中の交通渋滞が発生した状態、すなわち、「二酸化炭素の増加を防ぐ対策として、◯◯を書こう、▢▢を書こう、△△も書かなきゃ」のような状態で解答を書いた結果、わかりにくい答案になりました。
 
人材教育
 

3.2 わかりやすい答案の書き方

 

(1)頭の中の交通整理をしたうえで書く

 
 頭の中の交通整理をすることでわかりやすい答案を書くことができます。頭の中の交通整理とは、「『解答すべきことの要点』と『解答すべきことの要点に関する説明』を考えること」です。次に、考えたことを答案用紙に書けばわかりやすい答案を書くことができます。
 
 ここで、前項で提示した問題を基に、わかりやすい答案の書き方の具体的な方法を解説します。
 
 なお、以下では、「解答すべきことの要点」を「解答の要点」と書きます。
 

(2)解答の要点を考える

 
 解答の要点とは、解答を簡潔に言ったことです。
 
 この問題での解答すべきこととは、「あなたが考える二酸化炭素の増加を防ぐ対策」です。そこで、解答を簡潔に言ったこととして、「私が考える対策とは、家庭でできる取り組みを行うことである」を考えました。
 

(3)解答の要点に関する説明を考える

 
 ここでの解答の要点は、「家庭でできる取り組みを行うこと」です。そこで、この要点の説明、すなわち、家庭でできる取り組みの具体的な対策として、「①冷暖房の設定温度、②風呂の残り湯、③買い物袋」を考えました。
 

(4)考えたことを答案用紙に書く

 
(2)と(3)で考えたことを答案用紙に書きます。結果を以下に示します。
 

【解答例】

 
 私が考える対策とは、家庭でできる取り組みを行うことである。具体的には、以下のような対策を行うことである。
 
① 冷房の設定温度を1℃高く、暖房の設定温度を1℃低く設定する。
② 風呂の残り湯を洗濯に使う。
③ 買い物に行くと...
 例年、夏に実施される、技術士第二次試験の記述式試験で書く答案の書き方を例にわかりやすい答案を書くにはどうしたらいいのかを解説します。
 

1. 試験の合格に必要なこと

 
 試験の合格に必要なこととは、合格点が取れる解答を考えるための技術力を持つことわかりやすい答案を書くことです。このうち、「合格点が取れる解答を考えるための技術力」が合格に必要なことはすぐに理解できると思います。この技術力とともに、わかりやすい答案を書くことも合格に必要なこととの認識も持ってください。
 
人材教育
 

【特集】技術士第二次試験対策:技術士第二次試験に関する記事まとめページはこちら!口頭試験や論文対策などのポイントについての記事を紹介しています。

2. わかりやすい答案とは

 
 わかりやすい答案とは、試験官に解答が明確に伝わる答案のことです。まず、わかりにくい答案の例を示します。以下のような問題が出題されたとします。
 

【問題】

 
 地球温暖化の原因の1つとして二酸化炭素の増加があります。あなたが考える二酸化炭素の増加を防ぐ対策を書きなさい。
 
 ここで、以下のような解答を書いたとします。
 

【解答例】

 
 私の考える対策とは、以下のような対策を行うことである。
 
① 冷房の設定温度を1℃高く、暖房の設定温度を1℃低く設定する。
② 風呂の残り湯を洗濯に使う。
③ 買い物に行くときには買い物袋を持参する。
 
 この解答には、二酸化炭素の増加を防ぐ対策がいろいろと書かれています。しかし、この解答を読んでもこの書き手の考えが明確に伝わりません。この解答を読むと「対策がいろいろと書かれているが、結局、何が言いたいのだろう?」と思います。
 
 これが、わかりにくい答案の例です。わかりにくい答案を読むと、「結局、何が言いたいのだろう?」と思います。すなわち、わかりにくい答案では、試験官に解答が明確に伝わりません。
 
 わかりやすい答案とは、これとは反対に、「このような解答を考えたのか」のように書き手の考えが明確に伝わる答案のことです。
 

3. わかりやすい答案の書き方

 

3.1 わかりにくい答案を書く原因

 
 頭の中で交通渋滞が発生していることが、わかりにくい答案を書く原因です。問題を読みその解答を考えているとき受験生の頭の中は、「あれを書こう」、「あれも書かなきゃ」のような状態、すなわち、頭の中がごちゃごちゃな状態になっています。これが、頭の中の交通渋滞です。
 
 交通渋滞が発生した状態で答案用紙に解答を書くと文がただ並んでいるだけのような答案になります。このような状態で書かれた答案は、わかりにくい答案になります。
 
 前項で提示した解答例は、頭の中の交通渋滞が発生した状態、すなわち、「二酸化炭素の増加を防ぐ対策として、◯◯を書こう、▢▢を書こう、△△も書かなきゃ」のような状態で解答を書いた結果、わかりにくい答案になりました。
 
人材教育
 

3.2 わかりやすい答案の書き方

 

(1)頭の中の交通整理をしたうえで書く

 
 頭の中の交通整理をすることでわかりやすい答案を書くことができます。頭の中の交通整理とは、「『解答すべきことの要点』と『解答すべきことの要点に関する説明』を考えること」です。次に、考えたことを答案用紙に書けばわかりやすい答案を書くことができます。
 
 ここで、前項で提示した問題を基に、わかりやすい答案の書き方の具体的な方法を解説します。
 
 なお、以下では、「解答すべきことの要点」を「解答の要点」と書きます。
 

(2)解答の要点を考える

 
 解答の要点とは、解答を簡潔に言ったことです。
 
 この問題での解答すべきこととは、「あなたが考える二酸化炭素の増加を防ぐ対策」です。そこで、解答を簡潔に言ったこととして、「私が考える対策とは、家庭でできる取り組みを行うことである」を考えました。
 

(3)解答の要点に関する説明を考える

 
 ここでの解答の要点は、「家庭でできる取り組みを行うこと」です。そこで、この要点の説明、すなわち、家庭でできる取り組みの具体的な対策として、「①冷暖房の設定温度、②風呂の残り湯、③買い物袋」を考えました。
 

(4)考えたことを答案用紙に書く

 
(2)と(3)で考えたことを答案用紙に書きます。結果を以下に示します。
 

【解答例】

 
 私が考える対策とは、家庭でできる取り組みを行うことである。具体的には、以下のような対策を行うことである。
 
① 冷房の設定温度を1℃高く、暖房の設定温度を1℃低く設定する。
② 風呂の残り湯を洗濯に使う。
③ 買い物に行くときには買い物袋を持参する。
 
 どうでしょうか? 解答が明確に伝わったと思います。このように書くことで、わかりやすい答案(試験官に解答が明確に伝わる答案)を書くことができます注1)
 
 注1):「2.わかりやすい答案とは」で提示した解答例は、解答の要点が書かれていなかったために、わかりにくい答案になりました。
 
 試験では、「解答の要点は何か?」、「解答の要点に関する説明は何か?」と頭の中の交通整理をしてから答案用紙に解答を書いてください。
 
【参考文献】
 
森谷仁著、「技術士第二次試験 建設部門 答案作成のテクニック 5つの手順で書いてみよう」、オーム社、平成29年3月20日

   続きを読むには・・・


この記事の著者

森谷 仁

「君の書く文書は、わかりにくい」と言われる技術者から、「君の書く文書は、わかりやすい」と言われる技術者へのステップアップ!

「君の書く文書は、わかりにくい」と言われる技術者から、「君の書く文書は、わかりやすい」と言われる技術者へのステップアップ!


「人財教育・育成」の他のキーワード解説記事

もっと見る
コンピテンシー・マネジメントシステムとは

1. コンピテンシーとは  多くの企業では、近年、コンピテンシー採用やコンピテンシーによる実績評価を実施しています。そこで、人財開発領域で非常に重要なキ...

1. コンピテンシーとは  多くの企業では、近年、コンピテンシー採用やコンピテンシーによる実績評価を実施しています。そこで、人財開発領域で非常に重要なキ...


テーマをかたまりに分けて書く かたまりに分けて書く(その2)

 前回のその1に続いて解説します。   1. かたまりに分けて書く    2018年2月15日に掲載した記事のテーマは「かたま...

 前回のその1に続いて解説します。   1. かたまりに分けて書く    2018年2月15日に掲載した記事のテーマは「かたま...


幸福について、知って得する人的資源マネジメント【連載記事紹介】

     【目次】 ◆ 幸福とは 「幸福」について考えましょう。そのためにはまず、幸せかどうか、その度合いを調...

     【目次】 ◆ 幸福とは 「幸福」について考えましょう。そのためにはまず、幸せかどうか、その度合いを調...


「人財教育・育成」の活用事例

もっと見る
【SDGs取り組み事例】環境対策を基盤に、働き甲斐と経済成長を実現 株式会社エフピコ

サステナブルな社会を目指した“人の輪づくり” 地球温暖化など環境問題が重要な社会課題として世界的に認識され、その保護気運の高...

サステナブルな社会を目指した“人の輪づくり” 地球温暖化など環境問題が重要な社会課題として世界的に認識され、その保護気運の高...


人材の課題 伸びる金型メーカーの秘訣 (その20)

 今回、取り上げる金型メーカーは、I 精機株式会社です。同社は、高い職人技術で、金型製作から試作板金、部品加工まで幅広く手がけてきましたが、今後はその職人...

 今回、取り上げる金型メーカーは、I 精機株式会社です。同社は、高い職人技術で、金型製作から試作板金、部品加工まで幅広く手がけてきましたが、今後はその職人...


【SDGs取り組み事例】ダイバーシティ経営で人的資源を最適化 有限会社川田製作所

「誰一人残さない」…社員のニーズや得手不得手を把握、自社を活性化 【目次】   国内製造業のSDGs取り...

「誰一人残さない」…社員のニーズや得手不得手を把握、自社を活性化 【目次】   国内製造業のSDGs取り...