相手が自ら動く、たった1行の魔法の言葉(中級編) あなたも一瞬で「技術が伝わる」エンジニアになれる(その5)

 
  
 

 

【あなたも一瞬で「技術が伝わる」エンジニアになれる 連載目次】

1. 会話を「技術を世に出すために役立つツール」として活用するには

2.「出会って30秒で仲間のように話せるラポール」を身に着ければ安泰!(初級編)

3.「話題や相手の気持ちを考えなくても」喜ばれる会話ができる!(初級編)

4. 五感で伝える威力は絶大!(初級編)

5. 相手が自ら動く、たった1行の魔法の言葉(中級編)

6.「あの人は毎回フラフラと言うことが変わって困る」という場合の会話法(中級編)

7.「ネガティブな内容が含まれる報告書、企画書、認可書類を一瞬で合意する」形容詞化戦略(上級編)

 

1. 目的に向けて相手を導く会話

 
 前回までにエンジニアが知らずに行っているNo.を誘発する会話を止めること、代わりにYes.から始まるラポールとラポールの会話での使い方、さらに五感を使った伝え方とその練習について説明しました。今回はいよいよ中級です。相手に寄り添う会話から少し踏み出した「目的に向けて相手を動かす」会話について説明します。
 

2. 指示や説得は無視される

 
 「実施の意義をよく言い聞かせれば相手は納得して行動してくれる。」そう信じている人がたくさんいます。これもよく本やWEBで見かける分かりやすい(納得しやすい)フレーズです。しかし、皆さんの実際の体験はどうでしょうか?
 
 ほとんどの場合は「意義を説得して了解しても実行してくれない」のではありませんか?
 
 例えば、「将来のために勉強は必要だ。そう思わないか?」と問うと多くの子供が「そう思う」と返事します。でも、実際に「じゃ、勉強しよう!!」って勉強します?しませんよね。
 
 同僚や部下に「説得」しても同じです。もともと「説得で納得する」の方法では人を動かすのは無理なのです。
 

3. 正しい「なぜ」の問いで相手の行動が起きる

 
 「なぜ」を尋ねると相手は自分の価値観で納得できる理由を探し出します。口に出すことで、それまで無意識だったものが意識されるようになって定着するのです。だから、「なぜ期限を守らなかったの?」という問いは最悪の結果を引き起こします。
 
  「時間がなかったから」
  「忙しかったから」
 
 相手はできない理由を自分にそう言い聞かせて信じてしまいます。
 
 そして、次回も同じ結果を起こしやすくなってしまいます。同様に、子供に「なぜ言うことを聞けないの?何度言ったら分かるの?」はますます事態を悪化させます。でも、「なぜ」の原理が分かれば簡単です。
 
 正しい使い方は、できているときに「なぜ、期限どおりにできたの?」という問いかけをすることです。
 
 「責任があるから」「約束したから」すると、その言葉を自分自身が信じて次回も期限を守ります。
 
 私がこれを始めてから、3人の子供たちに勉強しなさいとか、家事を手伝いなさいとかを言うことがなくなりました。
 
 「凄いなぁ、なんで家事を手伝ってくれるの?」「なんで料理できるの?」この問いかけで、彼らが進んで行ってくれるからです。
 

4. 注意!クライシスを起こす誉め言葉

 
 「凄いなぁ、なぜできるの?」の誉める着眼点は少し気を付けて下さい。
 
 褒めて育てると言っても「何でも褒めていると、悲劇を引き起こす」ことがあります。「こんないい成績をとったの?凄いなぁ・・」と誉める人がいますが、これはNGです。相手の価値を「いい成績」に限定してしまっているからです。
 
 人生は良い時も悪い時もあります。
 
 いい成績を自分の存在価値だと思い込むと、成績が上がらないときに絶望して人生を投げ出してしまいます。目の前の数値が欲しい場合も多いと思いますが、相手そのものより相手がもたらす結果に目が向いてしまうと、長期的に相手は壊れてしまいます。誉め方には注意してください。
 

5. 効果がでやすい相手は・・・

 
 成功の「なぜ」を聞くのは、誰に効果があるのでしょうか?
 
 私のこれまでの経験では、上司、年配の方>部下、子供です。
 
 地位がある人は承認や賞賛は想像以上に少ないようです。
 
 「なぜ」がすごく効果を発揮します。
 「凄いですね!部長...
はなぜ〇〇ができるんですか!」はかなり万能のフレーズです。
 
 今回は「成功した時になぜを聞く」「結果ではなく人の存在を褒める」を覚えて下さい。
 
 次回は「100%合意成功!相手の価値観を創造する」を紹介します。意見の衝突は価値観が異なることから発生する場合が多いのです。その場合、相手に寄り添って価値観をあわせる方法が一つ。よく本やWEBで紹介されています。
 
 しかし!「相手の価値観を合意の目的に合わせて創る」方法なら、寄り添う方法の何十倍も威力があります!もう、「あの人の意見、良く変わるんだよね。困ってしまう・・・」に悩まなくなります!
 

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