前回の清掃に関するよもやま話 その1に続いて、今回のその2では、海外に目を向けます。海外、特に東南アジアのホテルでは、朝食時、指定された席に座ってもパンくずがあったり、テーブルが拭かれていなかったりと言う場面にまだまだ遭遇します。 また、指示されたテーブルに着いても、きちんと拭かず、目の前でただ払って床に落とすことも目にします。朝から気分が悪くなってしまいますね。
海外の工場指導で、長期間入り込む場合は、休日を現地で過ごすことになります。 平日はホテルと工場を車で往復してしまうのですが、この機会にと、市内を歩いてみると、色々な光景に出合います。 例えば中国、いつもは夕食時の風景しか見ませんが、日中歩いてみると、ホテルやレストランの前の歩道で、仕込みの準備でしょうか、野菜の皮を剥き、そのまま道路に捨てたり、前の日の残飯を捨てたりと言う光景です。その場をどうやって通ろうかと考えてしまいます。 現地のオペレータに聞いて見ますと、中国はゴミを捨てる文化です。親の躾も、外で食べた後の残りやゴミはその場に捨てなさいと教わると言うんですね。 そして、ゴミを捨てないと、ゴミを拾う、掃除する人の仕事が無くなってしまって可哀そうだ。だからゴミを捨ててやるんですと言う話まで出て来ます。 全部がこうではないと思いますが。
かなり昔の話ですが、中国でも、かなり南の方の工場に見学に行った時のことです。 日本の企業の管理職から、「このビルは、階ごとに違う企業が入居している。お昼になったら窓から外を見ていて下さい」と言うのです。 暫くすると、ビルの上の階から、食事の残飯や空容器が降って来ました。 この時に、中国はゴミを捨てる文化だと言う事を知りました。
現地の日系企業が、オペレータと一緒に外の掃除を繰り返し、段々綺麗になったとのことですが、オペレータから、「私たちは、ものを作るために雇われている。なぜ掃除をしなければいけないのか」と言われ、最初は苦労の連続だったと言います。
一方、タイの工場診断では、どの現場に入っても、モップを持っている人達が目立ちました。 聞いてみると、親からの躾で、手が空いたら清掃すると言うことでした。 清掃風景を見ますと、モップを絞らずに床を拭くため床は濡れていました。 ただし、清掃する文化はあるので、「絞らずにやると滑って転倒し、頭や腰を打って怪我をする」という、安全を考慮した...
そうすると清掃方法だけでなく、どんな清掃用具が良いのかなどと具体的な質問が出て来ますので、清掃に対しての意識は高いと感じました。これを指導に生かすわけです。 このように、国民性や地域の違いがありますので、現地の指導に出かける前に良く調べ、また、現地でも自分の目で確かめて行動するようにしています。 画一的な指導では、上手く行かず、効果は薄いと感じます。
次回は、清掃の考え方やノウハウを紹介します。