目的変数、説明変数とは データ分析講座(その31)

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情報マネジメント

◆ データで売上拡大を目指すなら、「目的変数」と「説明変数」を意識することが何よりも重要です。

 データ分析では、「目的変数」と「説明変数」という用語を頻繁に使います。ややこしいことに、「目的変数」と「説明変数」は別の用語でも呼ばれます。「目的変数」を「被説明変数」と呼んだり「従属変数」や「外的基準」と呼んだりもします。どれも同じです。「説明変数」を「独立変数」と呼んだり「予測変数」と呼んだりもします。どれも同じです。業界や分野、ツールによって用語の使い方が異なるため、混乱を招き、データ活用実務の大きなブレーキになることがあります。

 今回は、営業やマーケティングなどのビジネスデータ分析(セールス・アナリティクス)の世界での、「目的変数」と「説明変数」の使われ方について簡単に解説します。

1. 目的変数と説明変数

 簡単にいうと、「目的変数」は「物事の結果となっている変数」です。「説明変数」は「物事の原因となっている変数」です。

 例えば、店舗の売上高が「目的変数」で、立地や天候、チラシ、タイムセールなどが「説明変数」となります。この中で、主にモニタリングするのは、この「売上高」という指標になることでしょう。要するに、主にモニタリングする指標が「目的変数」で、目的変数である指標に影響を与える要因が「説明変数」となります。しかし、物事はそう単純ではありません。ややこしいことに、指標が常に「目的変数」になるわけではありません。

2. 指標は、目的変数になったり説明変数になったり

 指標は他のモニタリング指標に影響を与えることがあるため、「目的変数」ではなく「説明変数」になることがあります。例えば、店舗の売上高が「目的変数」で、客数や客単価などが「説明変数」となります。人によっては、売上高だけでなく客数や客単価もモニタリングしていることでしょう。時と場合によって、指標は「目的変数」になったり「説明変数」になったりするのです。それほどナイーブに考える必要はありませんが、意識はしておいた方がよいでしょう。

3. OODAループの4種類の定量分析

 この連載でも何度か取りあげたOODAループ。営業やマーケティングなどのビジネスデータ分析(セールス・アナリティクス)のOODAループの中で、主に4種類の定量分析(「異常検知」「要因分析」「将来予測」「評価決定」)を行います。

  •  モニタリングしているKPIなどの指標の数字に、問題がないかどうかを探すのが「異常検知」
  •  問題となっている要因にあたりをつけるのが、「要因分析」
  •  モニタリングしているKPIなどの指標を予測するのが「将来予測」
  •  何をすべきなのか考えるのが「評価決定」

 この4種類の定量分析における、「目的変数」と「説明変数」の用語の回し方を、簡単に説明します。

4. 4種類の定量分析と目的変数と説明変数

(1) 異常検知

 「異常検知」では、「目的変数」(主にモニタリングしている指標)の数字に、異常がないかどうかを分析します。

(2) 要因分析

 「目的変数」(主にモニタリングしている指標)に異常があった場合、その問題の要因を探るために、「目的変数」(主にモニタリングしている指標)と「説明変数」(指標に影響を与える要因)の関係性を「要因分析」します。しかし、「異常検知」と「要因分析」は、あくまでも現状把握までです。あくまでも過去の話しです。未来を語るものではありません。

(3) 将来予測

 営業やマーケティングなどでデータ活用しようと考えたとき、過去の反省も重要ですが、多くの場合これから何をすべきかを知りたいはずです。そのため、今後どうなりそうかの見通しを付ける必要があります。「目的変数」(主にモニタリングしている収益系の指標)の予測モデルを構築し「将来予測」をします。このとき、複数の「対策案」(アクション案)が出されます。対策案ごとに将来予測をし見通しを立てます。つまり、単に今後どうなりそうかを予測するのではなく、何(施策案)をするとどうなりそうかも予測します。

(4) 評価決定

 そして、これから何をすべきかを決めるためには、何かしらの評価基準に基づき決定しなければなりません。実施する「対策案」(目的変数)を、いくつかの「評価基準」(説明変数)で評価し絞りこみレコメンドするための定量分析が「評価決定」です。

 4種類の定量分析の中で、「評価決定」のみ目的変数と説明変数が異なります。他の3種類の定量分析(「異常検知」「要因分析」「将来予測」)の目的変数が「モニタリングしているKPIなどの指標」で、説明変数が「その指標に影響を与える要因」です。「評価決定」のみ目的変数が「対策案標」で、説明変数が「評価基準」です。

5. 「目的変数」と「説明変数」はデータ分析で意識すること

 大雑把にいうと、モニタリング指標は「目的変数」と呼ばれ、その要因は「説明変数」と呼ばれます。

 データ分析上、「目的変数」と「説明変数」は、意識することが何よりも重要です。データ分析するときに、扱われ方が大きく異なるからです。「目的変数」は結果系です。その結果に影響を及ぼす原因系が「説明変数」です。売上高や受注...

情報マネジメント

◆ データで売上拡大を目指すなら、「目的変数」と「説明変数」を意識することが何よりも重要です。

 データ分析では、「目的変数」と「説明変数」という用語を頻繁に使います。ややこしいことに、「目的変数」と「説明変数」は別の用語でも呼ばれます。「目的変数」を「被説明変数」と呼んだり「従属変数」や「外的基準」と呼んだりもします。どれも同じです。「説明変数」を「独立変数」と呼んだり「予測変数」と呼んだりもします。どれも同じです。業界や分野、ツールによって用語の使い方が異なるため、混乱を招き、データ活用実務の大きなブレーキになることがあります。

 今回は、営業やマーケティングなどのビジネスデータ分析(セールス・アナリティクス)の世界での、「目的変数」と「説明変数」の使われ方について簡単に解説します。

1. 目的変数と説明変数

 簡単にいうと、「目的変数」は「物事の結果となっている変数」です。「説明変数」は「物事の原因となっている変数」です。

 例えば、店舗の売上高が「目的変数」で、立地や天候、チラシ、タイムセールなどが「説明変数」となります。この中で、主にモニタリングするのは、この「売上高」という指標になることでしょう。要するに、主にモニタリングする指標が「目的変数」で、目的変数である指標に影響を与える要因が「説明変数」となります。しかし、物事はそう単純ではありません。ややこしいことに、指標が常に「目的変数」になるわけではありません。

2. 指標は、目的変数になったり説明変数になったり

 指標は他のモニタリング指標に影響を与えることがあるため、「目的変数」ではなく「説明変数」になることがあります。例えば、店舗の売上高が「目的変数」で、客数や客単価などが「説明変数」となります。人によっては、売上高だけでなく客数や客単価もモニタリングしていることでしょう。時と場合によって、指標は「目的変数」になったり「説明変数」になったりするのです。それほどナイーブに考える必要はありませんが、意識はしておいた方がよいでしょう。

3. OODAループの4種類の定量分析

 この連載でも何度か取りあげたOODAループ。営業やマーケティングなどのビジネスデータ分析(セールス・アナリティクス)のOODAループの中で、主に4種類の定量分析(「異常検知」「要因分析」「将来予測」「評価決定」)を行います。

  •  モニタリングしているKPIなどの指標の数字に、問題がないかどうかを探すのが「異常検知」
  •  問題となっている要因にあたりをつけるのが、「要因分析」
  •  モニタリングしているKPIなどの指標を予測するのが「将来予測」
  •  何をすべきなのか考えるのが「評価決定」

 この4種類の定量分析における、「目的変数」と「説明変数」の用語の回し方を、簡単に説明します。

4. 4種類の定量分析と目的変数と説明変数

(1) 異常検知

 「異常検知」では、「目的変数」(主にモニタリングしている指標)の数字に、異常がないかどうかを分析します。

(2) 要因分析

 「目的変数」(主にモニタリングしている指標)に異常があった場合、その問題の要因を探るために、「目的変数」(主にモニタリングしている指標)と「説明変数」(指標に影響を与える要因)の関係性を「要因分析」します。しかし、「異常検知」と「要因分析」は、あくまでも現状把握までです。あくまでも過去の話しです。未来を語るものではありません。

(3) 将来予測

 営業やマーケティングなどでデータ活用しようと考えたとき、過去の反省も重要ですが、多くの場合これから何をすべきかを知りたいはずです。そのため、今後どうなりそうかの見通しを付ける必要があります。「目的変数」(主にモニタリングしている収益系の指標)の予測モデルを構築し「将来予測」をします。このとき、複数の「対策案」(アクション案)が出されます。対策案ごとに将来予測をし見通しを立てます。つまり、単に今後どうなりそうかを予測するのではなく、何(施策案)をするとどうなりそうかも予測します。

(4) 評価決定

 そして、これから何をすべきかを決めるためには、何かしらの評価基準に基づき決定しなければなりません。実施する「対策案」(目的変数)を、いくつかの「評価基準」(説明変数)で評価し絞りこみレコメンドするための定量分析が「評価決定」です。

 4種類の定量分析の中で、「評価決定」のみ目的変数と説明変数が異なります。他の3種類の定量分析(「異常検知」「要因分析」「将来予測」)の目的変数が「モニタリングしているKPIなどの指標」で、説明変数が「その指標に影響を与える要因」です。「評価決定」のみ目的変数が「対策案標」で、説明変数が「評価基準」です。

5. 「目的変数」と「説明変数」はデータ分析で意識すること

 大雑把にいうと、モニタリング指標は「目的変数」と呼ばれ、その要因は「説明変数」と呼ばれます。

 データ分析上、「目的変数」と「説明変数」は、意識することが何よりも重要です。データ分析するときに、扱われ方が大きく異なるからです。「目的変数」は結果系です。その結果に影響を及ぼす原因系が「説明変数」です。売上高や受注件数などの収益に近いのは「目的変数」です。しかし、アクションに近いのは「説明変数」です。営業やマーケティングなどのビジネスデータ分析(セールス・アナリティクス)で、さっぱり成果が上がらないとき、もしかしたら「目的変数」と「説明変数」の意識が希薄なのかもしれません。

 例えば、売上高や受注件数、受注金額、購入商材などの「目的変数」になりがちな収益に近い(もしくは収益そのもの)データだけで分析しても、何をすればよいのかというアクションは見えてきません。アクションに近い「説明変数」が無いからです。

 例えば、訪問件数やイベント開催、DM発送、HPの訪問数などのアクションに近い「説明変数」のデータだけで分析しても、収益に繋がり難いことでしょう。収益系の「目的変数」が無いからです。

 「目的変数」と「説明変数」の両方なくてはなりません。営業やマーケティングなどのビジネスデータ分析(セールス・アナリティクス)は、「目的変数」と「説明変数」の繋がりを明らかにし、その繋がりを利用して売上拡大を目指します。

 営業やマーケティングなどのビジネスデータ分析(セールス・アナリティクス)に限りませんが、「目的変数」と「説明変数」は、意識することが何よりも重要です。

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


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