1. 研究開発組織における多様性の受容
コンサルティングやセミナーでお会いする方々から次のような声を多くいただきます。
- 「結局、どんなアイディアも組織の壁に負けてしまい、前に進まない」
- 「自分一人で頑張っていますが、ついて来てくれるメンバーがいません」
- 「声の大きい発言者による偏ったアイディアしか出て来ません。もっと斬新で挑戦しがいのあるテーマを提案したいのに、がんじがらめになっています。」
- 「そもそもやる気のないメンバーをまとめるのに苦労して、いつになったら活発な議論ができるのか想像できない」
このように研究開発そのものの悩みではなく、対象となる研究開発テーマが決まらない、いいアイディアを組織で出せない、やる気あるメンバーがいないといった研究開発組織の人間関係の課題です。
オリンピックを控え、すでに公用語を英語とする日本企業も増え、また女性労働者や高齢者、障害を持つ方々との協業の推進が叫ばれる中、今後はさらに人間関係をベースとした悩み・課題が増えることでしょう。
2. 研究開発:ちょっとしたコツで無用な軋轢を無くす
人間関係全般の悩みは専門家にお任せしますが、研究開発組織のマネージャーとして私自身がこだわっていた、人間関係をよくするためのポイントを3つ紹介します。
(1) カテゴライズしない
男/女、自分よりキャリアが長い/短い、学歴(大学名、博士号など)、見た目(派手/地味)などで相手をカテゴリに分類し、思い込みで接することをやめましょう。
例えば「タメ口の新人の意見は聞かない」「その分野の専門家であるシニアエンジニアの発言は正しいと思いこむ」などです。
初対面の場合、カテゴライズすることでなんとなくこんな人であろうと予測できるので、安心材料になりますが組織・チームメンバーは初対面のあと、しばらく活動を共にする仲間であり、一人の人間として接します。
先入観なくフラットな感情を心掛けます。そのために「あの人は〇〇だから」というカテゴライズ思考はやめましょう。
(2) 意見の違いを受け入れる
自分以外の人は他人です。当然ながら意見はみんな違って当たり前です。
商品アイディアやコア技術の選定など、未来を予測する業務がゆえにさらに意見の違いは大きくなります。
そのような状況でも「意見を全否定しない」「多数決で決めずに少数意見の深掘りも平等に行う」ことを心掛けます。
自分と違う意見を聞くと新たな発見、気づきも出て来ます。
無理に賛成しなくていいのです、違う意見・考え方を楽しみましょう。
(3) いい面を探す
それでもどうしても合わない、苦手だという相手はいるものです。私も会社員時代は、苦手な人を作らないように作らないようにと意識していましたが限界は訪れます。
最悪なパターンでは、苦手だと思う自分を責めてしまうケースもよく見掛けます。同じ組織・企業で働いている以上、事業目標に対しては仲間である必要がありますが、プライベートまで仲良くする必要は全くありません。
このようなケースは、業務に関するある一点(複数でも、もちろん良し)のいい面、尊敬できる面を探すことです。
例えば、このように考えましょう。
- 声が大きい・うるさい・・・・・・・・・プレゼンテーションの場で活躍できます。
- プログラムのコーディングが早い・・・・プログラムの主要部分を任せ、本人の満足感を満たしましょう。
- さわぐ・楽しいことが好き・・・・・・・アイディアマンとして斬新アイディアを生み出しましょう。...