金属材料に起こる不具合を考えた時、応力で引き起こされる不具合がたくさんあります。
材料に降伏応力以上の応力が負荷されると塑性変形を起こし、引張応力以上の応力が負荷されると材料は破壊します。しかし、降伏応力以下の応力でも繰返し応力が負荷されることで破壊する疲労破壊もあります。多くの機械部品の破損原因が疲労破壊とされています。
そして、材料に負荷される応力というのは様々な種類があります。材料にかかる応力を取り扱う場合、応力の種類を明確にすることは重要です。材料にかかる応力とは縦、横、高さの3軸方向があり、その応力が材料のどの位置に負荷されているかによって主に5種類に分けられます。これを下図に示します。
図.応力の種類
【応力の種類】
- 引張・圧縮
- 曲げ
- ねじり
- せん断
- 接触
この5種類のうち、1~3の引張・圧縮、曲げ、ねじりは丸棒など1個の製品にかかる応力として扱うことができます。
一方4のせん断は例えば、ボルト締結などでお互いに応力を影響している場合に扱うことがあります。5の場合はベアリングや歯車の歯面などのように面で接触しているときに扱うことがあります。
応力を扱う時、材料にこの5種類の応力のどのタイプが負荷されているかを判断することが重要になります。それは材料や製品形状によって例えば、引張・圧縮の応力には...
強いけれども、曲げ応力には弱い場合があるかもしれません。また応力によって変形方向、き裂の進行方向、破壊の形態などが異なってきます。実際の機械部品などにはこれら5種類の応力が単体ではなく2種類以上が組み合わさって作用することもあります。
次回に続きます。
◆【関連解説:金属・無機材料技術】