材料力学では材料の形状や断面積を一定として計算することが多いですが、実際に機械部品には平行な断面積ばかりではありません。それに小さいキズや加工の凹凸などにより微小の断面積の変化があります。
このように製品にかかる応力が一様ではない時に応力集中と呼ばれる現象が起こります。その例を下図に示します。
図.応力集中
いま一枚の板に引張応力を負荷した時の状況を考えます。材料が均一であればその時の材料内部の応力の方向やその量は均一になります。この線を力線と呼びます。丁度水の流れのようなイメージです。
次にき裂がある場合を考えてみます。き裂部分に応力はかかりませんから、残りの断面積で応力を受けることになります。
き裂から離れたところはあまり関係ありませんが、き裂付近ではその周りを力線が避けるような流れになります。これが応力集中です。
そして、この応力集中はき裂が鋭利になるほど応力集中の度合いが増します。応力集中により材料全体にか...
かる応力が例え降伏応力以下の応力であったとしても、き裂付近では降伏応力を超えてしまい、変形が始まってしまうのです。疲労破壊ではこのようなき裂から割れが進行します。
次回に続きます。
◆【関連解説:金属・無機材料技術】