この連載ではアンケート調査設計に役立つ、質問部分の不具合、回答部分の不具合を実例から紹介しています。今回は回答部分の不具合について解説します。
【アンケート調査設計】回答部分の不具合
(1) 自由回答ばかりな質問の場合
- 自由記入は書いてくれない可能性があります。
- 自由回答を書く人は、その内容について絶賛しているか、クレームを付けたい方の両極端に分かれます。
(2) あらゆる統計解析に利用できるように考慮されていない場合
- 目的特性、因果関係の考慮不足がある。
- 数値データとなる回答項目が少ない。
(3) 構造が不適切の場合
- 選択肢の過不足がある。
- 自由回答欄の過不足がある。
- 選択肢の配列が悪く該当する回答が探しづらい。
- 「その他」の回答欄がない。
(4) 内容が不適切の場合。
- 偏りがある選択肢がある。
(例)
下記のような満足側に偏った選択肢がある。
1.大変満足 2.結構満足 3.やや満足 4.どちらともいえない 5.不満
- 単一回答とあるが、複数該当する回答が存在する。
Q.あなたはこの会場までどのような交通手段で参りましたか?(○は1つ)
1.JR 2.私鉄 3.地下鉄 4.バス 5.自転車 6.徒歩 7.自動車 8.バイク 9.その他( )
(5) 表現が不適切の場合。
- 頻度、程度の表現が曖昧である。
(例)
Q6.各項目を評価して下さい
料理 1.ひどく満足 2.必ず満足 …
上記程度はどれくらいの程度であるか理解できない。
- 頻度、程度の分類が類似である。
(例)
Q7.各項目を評価して下さい
価格 1.非常に満足 2.大変満足 3.かなり満足 …
上記のように類似した程度の選択肢がある。
- 否定語と反意語が統一されていない。
(例)
Q8.各項目を評価して下さい
料理 1.満足 2.どちらともいえない 3.不満
価格 1.満足 2.どちらともいえない 3.満足ではない
- 左右配列が不規則である。
(例)
Q9.各項目を評価して下さい...
料理 1.おいしい 2.どちらともいえない 3.食べない→まずい
価格 1.高い 2.どちらともいえない 3.低い→安い
店員 1.良い 2.どちらともいえない 3.不満→悪い
今回の連載で紹介した設計を見直せば、かなりアンケートは変わります。アンケート結果の精度を上げ、回答率を高めるためにもアンケート調査設計は細心の注意を払う必要があります。