◆ 営業や販売のCRM系のデータ分析、どうしてもコーホート的になる
分析用データはどのような視点で分析するかによりデータセットの呼び名、データ分析の名称が変わったりします。営業や販売のCRM系やECサイトのアクセスログ系のデータ分析、つまりデータが特定の誰かに紐づいている分析の場合、クロスセクション、タイムシリーズ(時系列)、そしてコーホート※の3種類のデータ分析が可能になります。今回は「営業や販売のCRM系のデータ分析、どうしてもコーホート的になる」というお話しです。
※コーホート:観察対象となる集団が共通した因子を持つ。例えば、同年(または同期間)に出生した集団など。
1. 2つのタイプに集約される
データの分類方法は様々です。教科書的には名義尺度、間隔尺度と尺度で論じるケースも少なくありません。さらに数値データとテキストデータ、画像データなどのデータの保存状態によって分類するケースもあります。実務的にはどうでしょうか。ざっくり、2つのタイプに分類されるかと思います。定量データ(ニューメリカルデータ)と定性データ(カテゴリカルデータ)です。どちらも数字で表現されます。画像データでさえ処理する時には数字で表現します。
2. 定量データ(ニューメリカルデータ)
定量データ(ニューメリカルデータ)とはどういったデータでしょうか。例えば以下のようなデータです。
- 気温、湿度、雨量、
- 身長、体重、BMI、
- 売上金額、受注件数、来店者数、
- GRP、出稿金額、製作費、
- 人件費、研修費、交通費、
- 接触回数、訪問回数、説明回数、
- 受注率、離反率、LTV、契約期間、
など
さらに定量データは2つのタイプに分かれます。非カウントデータとカウントデータです。
カウントデータとは、1つ2つ3つ…とカウントされ、非負の整数の値をとります。
3. 定性データ(カテゴリカルデータ)
定性データとは以下のようになります。
- 性別(1:男性、2:女性)
- エリア(1:北海道、2:青森…)
- 購入意向(1:非常に買いたい、2:買いたい…)
- 受注の有無(1:受注、0:失注)
- 顧客ランク(1:トライアル、2:レギュラー、3:ロイヤル)
など
定性データは、さらに2つのタイプに分かれます。非順序データと順序データです。
順序データとは、名称の通り順序関係があるデータで、定量データではありません。便宜的に順序データを定量データとして扱い分析する場合もありす(例えば、アンケートの程度を聞く質問の回答に対し因子分析する時など)。
4. データセット
データ分析用のデータは多くの場合、定量データと定性データが混在しています。
この混在したデータをデータセットなどと言ったりします。パッと見はExcelなどのスプレッドシートそのものです。通常はこのように定量データと定性データが混在しているデータセットを分析していきます。
5. クロスセクションデータとタイムシリーズ(時系列)データ
分析用データであるデータセットに対しどのような視点で分析するかにより、分析手法の選び方と幅が異なります。例えばクロスセクションとタイムシリーズ(時系列)という視点があります。
クロスセクションデータは時系列の概念を取り払ったものとも言えます。例えば上記の場合、2017年1月~2017年7月のデータをすべて一緒くたに扱えば(時間という概念を無視)、それもクロスセクションになります。
6. コーホートデータ
タイムシリーズ(時系列)をさらに一歩進めて、コーホートという視点の分析もあります。
単なる「時間」(例:2017年1月、2017年2月…)という概念だけでなく「時間の経過」(例:営業開始0カ月、1カ月…)という視点も加えたものです。クロスセクションと比べると複雑な感じがしてきますが、こちらのほうが分析の幅が広がっているのが分かるかと思います。
7. 分析の面倒度
では分析する時、どの視点の分析が一番面倒でしょうか。それはコーホートです。
コーホートを分析する時は、クロスセクションデータとして分析するほうが楽でしょう。実際そうしたほうがいいと思います。しかし、時間的な要素(季節性や営業開始からの履歴など)が抜け落ちるため「ク...