【中小企業経営基礎講座 連載目次】
- 1. 経営の基礎
- 2. 貸借対照表で見る資金の状態
- 3. 経営を自動車運転に例えれば
- 4. 企業経営の様々なリスクと予知能力
- 5. 経営における利益の位置づけ
- 6. 存在理念・経営理念・行動理念について
- 7. 経営進化の段階
- 8. 企業は変態脱皮して進化する
前回の中小企業経営の基礎講座(その4)に続いて、今回は、企業経営の様々なリスクと予知能力です。経営のポイントは、大難を小難にとどめたり、また回避するために、危険予知能力を高め、安全運転の技を体得することです。前項でのスキーツアーのドライブをイメージすると分かりやすいので、リスクに備える手順を解説いたしました。
1.企業経営にはリスクはつきもの
企業内部において発生するリスクには次のようなものがあります。
・社員の突然の退職 ・社長の急病 ・生産設備等の故障 ・製造ミスの発生 ・製品材料等の盗難・製品のキャンセル返品・クレームの発生・労災の発生・社員の不正による損害・先行投資(設備・製品開発 ・広告等)の失敗・通勤、物流等の交通事故・倉庫、工場、店舗等の火災・仕入先、得意先の倒産等
多くのリスクが隠れており、ミスをすればすぐ損害となって、資金繰りを直撃します。
また、外部環境からのリスクもたくさんあります。
・マクロの景気経済変動 ・金融政策による貸しはがし等 為替の変動(円高安)・材料の入手困難や値上がり・市場の冷え込み・消費者の買い控え・ライバルの出現による売上減
・新技術や新インフラの出現による競争力の劣化・法律の改定(制約条件の強化や税率等)による収益力の低下等
更には、天変地異等の数多くのリスクが待ち伏せしています。この外部環境からのリスクは、自社の企業努力のみでは解決できませんので、平時から備える事になります。
2.リスクに備える
企業内部において発生するリスクに対抗するには、社内体制を強靱に構築して、仕事の基本を体得する訓練を朝な夕なに繰り返し行います。管理の基本であるCoCa-PDCAや品質管理、報・連・相+【確認】を、ブレーキ操作と同じように反射的にできるまで訓練することです。現場でどのように実施するかは、事例をまじえてお話ししたいと思います。
一方外部環境からのリスクは、一企業では大手といえども対応できません。中小企業では、金融機関や公的経営支援機関、信頼できる経営支援パートナーのアドバイスや、情報交換をして情報武装する事になります。ライブでの同業者や異業種間の交流や、インターネットやSNSからの情報や業界紙等も、重要な情報源ですので、全方位にアンテナを張って微弱な情報を正確にゲットして、雑音や妨害電波を排除する訓練を磨きつづけてください。特に「人を見る目」は、男に対しても女に対しても相当な月謝を払わないと、レベルが上がりませんので・・・
3.予知能力を磨く
ドライブでも状況を読んでリスクを予知する事が、安全・安心のために大事とお話しました。経営の実務だけでは訓練にならないのは、大手も中小企業でも同じですが、創業のオーナーは初めからこのリスクのルツボに投げ込まれます。
公道よりはるかにリスクの高いレース場にいきなり参入するのですから、事故を起こすのは必然です。起業の10年生存率が2~3%なのです。
「経営特くんゲーム」は、黒字、赤字、倒産、資金不足、リスクとの遭遇等の擬似体験ができるようになっていま...
自動車の運転免許を取るには、ドライビングスクールへ通って車の構造・道路交通法を学び、実技を経て仮免を取って始めて公道に出て実地に体得するのです。
運転の実技も体得しないで公道に出れば、事故誘発車や事故車になり、激しい場合は死亡事故になるのは当然の事であり、企業経営も全く同じです。
企業経営におけるドライビングスクールの役割を、「経営特くんゲーム」が果たします。
認定講座を受けてマネジメント会計3表を提出すれば、仮免相当の終了認定書を取得して自信が湧いて来ますし、注意深く慎重になることでしょう。
仲間との経験交流もすすんで、情報量が飛躍的に増えることを実感できます。