テキストマイニング技術のビジネスへの応用とその効果(その3)

 

 前回のその2に続いて解説します。

(2) 社外情報

 インターネット上に存在する数多(あまた)なブログや口コミサイトなどのCGM(Consumer Generated Media)情報は、それが正しいかどうかの検証がなされていないためすべてを信じることは出来ない不確定情報です。しかしながらCGM 情報の特徴として下図に示すように具体性が高く生の意見に近いので、今まで企業が持てなかった情報で世間の動向や潜在的なウォンツを容易にあぶり出し、イノベーション創生や顧客満足度向上などに利用することが出来ます。BLOG, SNS, TwitterなどのCGMを自動的に回遊して集め日本語解析エンジンを使用して情報を整理整頓出来ます。

(3) 企業情報と社外情報の統合

 企業情報に社外情報を加えてみることで新たな知見を得ることが出来ます。A社の例では社外情報を加えることによってA社の市場評価や風評情報などが分かるだけではなく、A社の取引会社や競合会社などの市場評価、風評情報なども日本語解析から得ることが出来て、これらを一元的に見ることにより更なる気づきを得ることになります。

 これらによりこの例ではトランザクティブ・メモリーの低い組織でも、A社に関する情報を探し出す時間を大幅に短縮することが出来るのです。また、いろいろな角度からA社の情報を引き出すことが出来るため、意思決定のための選択肢を増やすことになります。

4、知識労働者の生産性

 ピーター・ドラッカーは知識労働者の生産性で、20世紀のマネージメント最大の功績は工場労働者の生産性を50倍にしたことであり、21世紀のマネージメントに求められている最大の貢献は知識労働および知識労働者の生産性を同様に倍増させること。と言っています。

 20世紀に工場労働者の生産性が劇的に向上したのは新しいツール、新しい方式、新しい技術によるものです。工場労働者の生産性を最初に提唱したのはフレデリック・テイラーです。テイラーの方式は非常に簡単で、ある作業を行う際に工場労働者の動作を観察して、それを細かい動作に解析し、各動作の物理作業と経過時間を記録、その中で必要のない動作をなくしていくのです。ある作業に使用されるツールの形状などが最適でなければ改良して作業の方式が最適でなければ改善します。このテイラーのアプローチはいまだに工場労働が主な産業である発展途上国などで使われています。

 一方アメリカや日本などの先進国では、工場労働者の生産性はすでに主要な問題ではなくなってきていますが、一方知識労働者の生産性が非常に重要になってきています。先進国の知識労働者の割合は40% 程度ともいわれ、将来先進国が生き残るためには知識労働者の生産性は非常に重要になります。

 知識労働者にとって重要なことは「何が自分の仕事か」を認識することであり、仕事を自主的、革新的に考え、そのために常に学びながら行うことが必要です。工場労働者の仕事は、例えば車のホイールを組み立てるなど非常に...

明確ですが、知識労働者の仕事はそれほど明確ではないのです。例えば先ほどのA社の例で自分がA社に部品を売り込む営業だったと仮定しましょう。A社に部品を売るという仕事自体は明確ですがそのアプローチは千差万別です。

 A社とアポイントメントを取って自社の部品の説明に行き、競合他社との違い性能・品質・耐久性・価格などの優位性を強調して「ぜひ当社から購入すべきです」と言ったところで、A社はベンダーを変更あるいは追加してくれるでしょうか。部品メーカーの営業は知識労働者です。知識労働者は自分の仕事を認識し、仕事を自主的に革新的に、常に学びながら仕事をおこなう必要があるのです。

 次回は、5、PDCA サイクルへの適用。から解説を続けます。

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