段取替えの必要な多品種の製品を流す場合のサプライチェーンは、縦隊を組んだチームでのトライアスロン・レースに喩えることができます。
ゴールドラットが著した「ザ・ゴール」で喩えられたボーイスカウトのハイキングならばユニフォームは一つですが、トライアスロンは水泳と、自転車と、ランニングと、パート毎に心理的な気持ちの切り替えを含めてユニフォームを「段取り替え」する必要があります。進行スピードを同期化させてチームが整然とスピードを上げるためには、水泳から自転車へ、自転車からランニングへ、短時間での「段取替え」をできるかが勝敗を決します。
この時にスループットとして産出する3種類の製品の総生産量に相当するのは、「陸と海を渡る移動距離の軌跡」です。ハイキングでのサプライチェーン・オペレーションの喩えでは、ボトルネックの把握と速度の同期化が課題でしたが、3品種混合のトライアスロンでは、「段取替え」という移動の伴わない時間を組み込むことでモデル化ができます。このように考えると多品種少量の生産ラインは、進行するルートとして山・川・藪・砂・池などを乗り越える障害物競技...
比喩が行き過ぎると元の問題から離れてしまい、単なる空想の世界の遊びになることに注意が必要です。比喩の説明を現実の場面に戻すことで、初めて現実を理解し解決策を練る道具となります。