◆ データ分析:所詮データは、過去の一部分でしかない
データ活用全般にいえることですが、データは「過去」の「ある事象」(例:受注や生産、購買など)の「1面の一部分」だけを表したものに過ぎません。例えば「受注件数」というデータはどうでしょうか、これは「成果」という側面を表したデータに過ぎません。「成果を得るためのプロセス」や「顧客の心理状態」、「営業パーソンの性格」なども「受注」という事象の一側面ですが「受注件数」のデータからは直接読み取ることはできません。
この「過去の一部分」でしかないデータを使い、これから何をすべきかを考えるのですから、一筋縄ではいきません。今回は「所詮データは、過去の一部分でしかない」というお話しをします。
1、データ分析:データから考える3つのこと
過去の一部分でしかないデータを上手く分析することで、次の「3つのこと」を考えていきます。
- ① 何が起こっていたのか(過去)
- ② どうなりそうか(未来)
- ③ 何をすればよいのか(アクション)
実際に、この順番で考えていきます。
簡単にいうと、まず過去を振り返り、次に未来を見通し、そして今何をすべきかを考える、という感じです。「過去→未来→現在(アクション)」の順番で「過去」と「未来」から「今」を考えるということです。
2、データ分析:過去を検討する
まずは「何が起こっていたのか(過去)」を検討することから始めます。データ活用を考えた時、多くの人が実施するのがこのデータ分析です。この手の分析は、実は難しい側面があります。データは過去の一部でしかないため、データだけで知り得る以上の何かを、分析者自らがデータから読み取る必要があるのです。
要は、データは起こっているのことの一部しかないため、データで現れない部分は、人間が想像する必要があるのです。しかもデータに現れる部分よりも、データに現れない部分の方が大きいため、データを正確に良い取る能力だけでなく、データをフックに洞察する力が必要になってきます。
3、データ分析:未来を検討する
「何が起こっていたのか(過去)」を検討後、次に「どうなりそうか(未来)」を検討します。過去のデータから未来を考えるのですから、一筋縄には行きません。ちょっとした工夫が必要になります。ちょっとした工夫とは、過去から未来を予測する数理モデル(いわゆる、予測モデル)などを構築するということです。
予測モデルと聞くと、難しそうと思う人も少なくありません。実は、予測モデルそのものを構築することは、それほど難しくありません。問題は「十分な予測精度のあるモデルを構築できるのか、現場で活用してもらえる(もしくは、信じてもらえる)モデルを構築できるのか」です。一番の難点は、予測モデルを構築するためのデータを集め整備することだったりします。
4、データ分析:アクションを検討する
「どうなりそうか(未来)」を検討後、次に「何をすればよいのか(アクション)」を検討します。ここまで到達して初めて「データ分析を実施した」ことになります。データ分析は単に過去を語たり未来を見通すだけではなく「何をすべきか」というアクションまで提示する必要があります。提示とまでいかなくとも、アクションが見えるところまでデータ分析する必要があります。
そのため、単にデータ分析の結果を出し現場に渡すであるとか、単に予測した結果をBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを通し...
て共有するとか、そこで終わってしまったら、現場で活用されないデータ分析になってしまうことでしょう。この「何をすればよいのか」を検討するということが、データ分析の中で最大の壁の一つです。
5、データ分析:今回のまとめ
今回は「所詮データは、過去の一部分でしかない」というお話しをしました。まずは「何が起こっていたのか(過去)」を検討することから始めます。「何が起こっていたのか(過去)」を検討後、次に「どうなりそうか(未来)」を検討します。過去から未来を予測する数理モデルなどを構築することが多いです。「どうなりそうか(未来)」を検討後、次に「何をすればよいのか(アクション)」を検討します。ここまで到達して初めて「データ分析を実施した」ことになります。データ分析は「何をすべきか」というアクションまで提示する必要があります。