◆ ターゲットを明確に
先日、ある企業の商品企画書レビューに参加したのですが、私を含め事業部長やリーダークラスのステークホルダーには、新商品の魅力が伝わらず、稟議(りんぎ)が通らないという場面がありました。
近年の企画レビューで、その商品・サービスの魅力が伝わらない、つまり儲(もう)かりそうだとか・顧客体験を提供できそうといった期待=ワクワク感が得られない場合、商品開発まで進むことはありません。
企画書にはPEST、3C、4Pといったマーケティング分析結果が表現されていましたが、商品企画に何が足りなかったかを端的にいえば顧客が見えなかったからです。
マーケティングには、セグメンテーション・ターゲット・ポジションという3つの要素が存在しますが、中でもターゲット=顧客設定が甘い・荒いことが大きな原因でした。商品企画での顧客の見える化とは、顧客をいかに詳細に設定し共通のイメージを描けるかです。
商品企画レビューでステークホルダー全員が共通のイメージを持つことで、ターゲットに最適な機能・性能を提供する商品企画、開発の優先順位などの設定が可能です。
【失敗ケースのターゲット設定】(新たに市場を獲得しようと挑戦する商品)
- ターゲットA=医療業界
- ターゲットB=メタボリック症候群
- ターゲットC=40代以上の健康に興味を持っている人
既存事業で既に市場を獲得している商品であれば、このまま進むことが多々ありますが、新たに市場を獲得しようと挑戦する商品においては、いずれもターゲット=顧客設定としては不十分です。
どのレベルまで明確化すると良いかといえば、次のようにその商品の象徴的なユーザー(個人):ペルソナであり、『ペルソナ設定レベル』です。
【ペルソナ設定】
- 人物の写真・絵
- 氏名
- 年齢
- 職業(企業名・役職)
- 趣味
- 生活習慣
- 悩み(ビジネス/プライベート)
- 価値観(人生/ビジネスにおいて重要視している考え方)
ある特定の人物を思い描き、これらの項目を埋めることで、リアルな顧客としてモデリング...
繰り返しになりますが、ステークホルダー間でペルソナを共通認識をすることで、企画担当者が気づいていない、取り組むべき要件や開発方針をブラッシュアップすることができるのです。
もし今、ターゲットを共通理解できていないと感じるならば、ペルソナ設定に取り組みましょう。具体的なペルソナを描くことで、ペルソナに似た新たな顧客獲得活動の手助けともなります。