基本的な考え方 ジャスト・イン・タイム生産(その9)

 

【目次】

第2章 基本的な考え方を押さえておく

(1)「改革」である
    「改善」と「改革」の違いとは
  「自己啓発」ではなく「自己革新」を行なう
  「改革」と「改善」を使い分ける
(2)「ムダ取り」である
        生産性の向上は改革の結果
  「ムダ」とは何か
(3) 「流れ」である
   製造業には7つの流れがある
   流れ化の5つのポイント
   流れ生産の基本は「1個流し」← 今回の記事
   1個にこだわる ← 今回の記事
(4) 「少人化」で生産性を上げる
   見せかけの「効率的」にごまかされるな
   効率化とはできるだけ少ない人員で対応すること
(5) 大切なのはタクトタイムを守ること
   個々の効率・全体の効率
   「タクトタイムを守る」とは
   企業全体の同期を図る
(6) もうひとつの「5S」でスモールメリットに対応する
   スケールメリットからスモールメリットヘ
(7) 7つの経営課題をゼロベースで考える
   「ゼロベース発想法」で課題を根本から解決する

第2章 基本的な考え方を押さえておく

 ジャスト・イン・タイム(JIT)生産を実現するためには、その考え方を理解しておく必要があります。ここではJIT改革で重要なキーワードを取り上げて解説していますが今回は、前回のその8に続いてお話します。

(3) 「流れ」である

 製造業の7つの流れをきれいにすることで、物の流れがスムーズになります。

 

◆ 流れ生産の基本は「1個流し」

 生産形態は、以下の3パターンに大きく分けられます。

 JITでは「流れ生産」を基本としています。流れ生産とは、生産工程の順番通りに作るといった、生産の流れを重視する方法です。流れ生産には色々な流し方があり、ものを1個ずつ流すこともあれば、ロット単位で工程をつなぐ方法もあります。JIT生産で「流れ生産」という場合は「1個流し」を基本にしています。1個流しとは、1個ずつ順に加工を付けながら、完成品を作っていく方法です。

 ただし、例外的に小物部品などは「1箱」を流れの単位とする「1箱流し」や、事務部門では「伝票1枚」を業務処理の単位とする「伝票1枚流し」などを行なうこともあります。

 1個流しは下記のように「手渡し1個流し」、「コンベア1個流し」、「多工程持ち1個流し」の3つに大別できます。

 

♦1個にこだわる

 JIT生産では、変化の最小単位である「1」に徹底的にこだわっています。「1個流し」は面倒で、非効率な生産方法に思えますが、やってみると、色々な問題が浮き彫りになってきます。品質や納期...

について、人の目がその1個に集中するため問題を発見しやすく、すぐに原因追究を行い、根本から問題解決が図れるのです。また「1個流し」をすることで、リードタイムが短くなり、柔軟性のある、小回りの利いたものづくりができるようになります。また、在庫も発生しないため、これが原因となる問題も発生しません。

 

図. ロット生産と1個流しの種類

 1個と2個とでは全く違います。たった2個くらいいいだろうと思うと、2個が10個に、10個が100個にと徐々にロットの世界に流れてしまい、注意や意識が拡散・分散してしまいます。何より、1個ずつ丁寧につくる、ものづくりの本質が大切なのです。

 次回は、(4) 「少人化」で生産性を上げるから解説を続けます。

 

 【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

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