7、これからのモノづくり経営
前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その89)技術力をアピールするヒントに続いて、解説します。
◆ 作業着(作業服)の役割
30年も前の話ですが、コンサルタントになりたてであった私は、国内での仕事はあまりなく、代わりに欧米での仕事に恵まれました。当時アメリカでハーバード大学教授のエズラ・ボーゲル博士が書かれた『ジャパンアズナンバーワン』が出版され、日本という国のすごさが紹介されました。改善研究所の今井正明先生が米国マグロウヒル出版社から『KAIZEN』という本を出版されたため改善活動を日本から学びたいという会社が多かったからだと思います。
メルセデスベンツには約2年間にわたり毎月一週間指導に行きました。そのほかにもBMWやエレクトロラックスなど日本でもその名前を知っていた大きな会社や中小のメーカーで改善指導をしました。
そこで驚いたのは、作業服がどこもカッコよかったのです。メルセデスベンツの当時の作業服は赤色のつなぎで、履(は)いている皮の安全靴も同じ色の赤でした。組み立て工程で働いている作業者を遠くから見るとベンツに乗り込むレーサーのように見えたものです。
さて日本の工場では、いまだに作業服が灰色というところが多いと思います。作業服が灰色なのは、汚れが目立たないからでしょう。しかし冷静に考えるとこれは汚くても構わないという意思表示でもあります。
食品工場や医薬品工場ではまず考えられないことですが、見学者がおらず、見られることを前提にしていないこともその理由でしょう。「うちは機械加工だから」と言う人もいますが、高品質やブランドを売り物にしている工場であればあるほど、それが伝わるカッコいい作業服を使っています。作業着も品質の一部といえるからです。
高い作業服である必要はありません。見た目で高品質で他社との違いが伝わるユニフォームにすれば、みんな自然と意識が高まり、製品の品質も上がるでしょう。
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追記;前半に引用したエズラ・ボーゲル博士は昨年12月に90歳で亡くなりました。そのお知らせの中に博士の言葉として「ジャパンアズナンバーワンで日本を自信過剰にしてしまったかな。僕は社会のシステムの良さを言いたかったんだ。読者が経済大国の話と誤解して、本がよく売れてしまったんだ」とありました。私...
今回の言葉
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作業着は、見ただけで違いが伝わるユニフォームにせよ。
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」
日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫