新しい分業スタイル 儲かるメーカー改善の急所101項(その92)

更新日

投稿日

生産マネジメント

 

7、これからのモノづくり経営

 前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その91)工場の立地に続いて、解説します。

◆ 新しい分業スタイル

 これまで分業生産は、生産性を向上して工業の発展に大きな貢献をしてきました。自動車が今のように私たちの足として普及したのは、ヘンリー・フォードがT型フォードの生産において、標準化を進め分業生産のコンベアシステムを作ったからといわれています。

 当時、自動車は企業の優秀なエンジニアが作るものであったのが、標準化された作業を分業することで労働者の誰もが生産に参加することができるようになり、組み立てスピードは一気に500倍になったといわれています。すなわち分業生産はスピードを上げ、量を増やすための手段として大きな成果を上げてきたということです。

 しかし、マーケットが細分化し縮小した影響で、高スピードのコンベア生産では在庫が増えてしまい、そのメリットが生かせないことが増えています。その結果、日本国内での組み立てでは、生産はセル生産方式に特化してきています。たくさんの人材で一つの商品をたくさん作るのではなく、たくさんの人材で種類を拡大して商品を一つずつ作るということです。

 

 これからの中小製造業が目指す「マーケット密着の高付加価値商品の生産」を考えると、セル生産だけでは心もとないと思います。新たなレベルの分業生産を創造してセル生産との連携で新しい日本のモノづくりを築きたいと考えます。

 新しい分業生産は量ではなく、質のために行います。最高のモノづくりをする職人さんの一連の作業を10工程などに分解して、10人が1工程ずつ覚えて担当することで安定生産できるようにします。1人のすごい職人さんに頼ることをしないで、ノウハウの流出も防ぐ職人レベルの品質の製品を量産するのです。

...

生産マネジメント

 

7、これからのモノづくり経営

 前回の儲かるメーカー改善の急所101項(その91)工場の立地に続いて、解説します。

◆ 新しい分業スタイル

 これまで分業生産は、生産性を向上して工業の発展に大きな貢献をしてきました。自動車が今のように私たちの足として普及したのは、ヘンリー・フォードがT型フォードの生産において、標準化を進め分業生産のコンベアシステムを作ったからといわれています。

 当時、自動車は企業の優秀なエンジニアが作るものであったのが、標準化された作業を分業することで労働者の誰もが生産に参加することができるようになり、組み立てスピードは一気に500倍になったといわれています。すなわち分業生産はスピードを上げ、量を増やすための手段として大きな成果を上げてきたということです。

 しかし、マーケットが細分化し縮小した影響で、高スピードのコンベア生産では在庫が増えてしまい、そのメリットが生かせないことが増えています。その結果、日本国内での組み立てでは、生産はセル生産方式に特化してきています。たくさんの人材で一つの商品をたくさん作るのではなく、たくさんの人材で種類を拡大して商品を一つずつ作るということです。

 

 これからの中小製造業が目指す「マーケット密着の高付加価値商品の生産」を考えると、セル生産だけでは心もとないと思います。新たなレベルの分業生産を創造してセル生産との連携で新しい日本のモノづくりを築きたいと考えます。

 新しい分業生産は量ではなく、質のために行います。最高のモノづくりをする職人さんの一連の作業を10工程などに分解して、10人が1工程ずつ覚えて担当することで安定生産できるようにします。1人のすごい職人さんに頼ることをしないで、ノウハウの流出も防ぐ職人レベルの品質の製品を量産するのです。

今回の言葉   

*******************************

分業を、大量生産のために使うな。職人レベル品質の量産に使え。

*******************************

「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」 

日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

柿内 幸夫

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革

現場で全員で『知のすり合わせ』を実行して経営改革


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
工場をもっと使う 儲かるメーカー改善の急所101項(その34)

3.仕組みを改善する基本 ◆ 工場をもっと使う  私はカイゼンコンサルタントという仕事柄、いろいろな工場を拝見しますが、多くの工場で場所が足りない...

3.仕組みを改善する基本 ◆ 工場をもっと使う  私はカイゼンコンサルタントという仕事柄、いろいろな工場を拝見しますが、多くの工場で場所が足りない...


小さな改善の効果とは:改善のヒント(その13)

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...

【改善のヒント連載目次】 1. 儲かる現場づくりとは 2. チームとして改善を進める 3. 現場から人を抜く 4. からくり改善とは 5...


教育と訓練 人材育成・組織・マネジメント(その5)

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...

  【人材育成・組織・マネジメントの考察 連載目次】 1. 間接部門のプロセス改善とは 2. 現場は全てを物語る 3. 明日の仕...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
品質管理 中国工場管理の基本事例(その19)

  ◆ 品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その9) 1. 中国工場、品質の問題点を生産の3要素で捉える  中国工場で生産す...

  ◆ 品質管理-中国工場の品質がよくないのはなぜか(その9) 1. 中国工場、品質の問題点を生産の3要素で捉える  中国工場で生産す...


検証記録が残せていない事例

  ◆ 位置決め方法を再改善するもまだ足りないものが  この中国企業ではプレスで鉄製支柱の穴あけ加工をやっていた。重要寸法である穴位置は...

  ◆ 位置決め方法を再改善するもまだ足りないものが  この中国企業ではプレスで鉄製支柱の穴あけ加工をやっていた。重要寸法である穴位置は...


業務効率化による生産性革命の危険性

 政府は「生産性革命」と称して労働生産性(一人当たり付加価値額)向上を図ろうといています。生産性が改善しなければ日本の経済成長性を示すGDP(国内の付加価...

 政府は「生産性革命」と称して労働生産性(一人当たり付加価値額)向上を図ろうといています。生産性が改善しなければ日本の経済成長性を示すGDP(国内の付加価...