クリーン化の進め方 クリーン化について(その44)

 

 

 前回、クリーンルームの代表的な例を図表で紹介しました。ここで、その2つの方式について実際のクリーンルームの写真で説明します。前回より具体的なイメージができ、印象が残ると思います。そのことで、自社のクリーンルームの方式と特徴を理解し、そのクリーンルームに相応しい管理ルールを模索して下さい。そして、社員、作業員のクリーン化行動に繋げていくことが重要です。

 

図.クリーンルームの方式と特徴

 

1.垂直層流方式

 垂直層流方式は図の左側です。前回の絵では、天井全面がフィルターだと説明しましたが、実際にはこのようにフィルターを支えている枠があったり、蛍光灯が取り付けてあるので、完全な全面ではありません。この枠や蛍光灯付近でも気流の巻き込みなど、わずかな乱流は起きます。

 さらに、前回も触れましたが、垂直の気流を妨げる様々なものがあるので、室内では斜流や乱流が起きます。写真は完成したクリーンルームですが、まだ設備や搬送ライン等が設置されていません。それらが設置されるとさらに気流の流れを阻害するので、設計思想通りの気流にはなりません。

 床は全面穴あきですが、こちらも穴のない部分は気流が通過しないので、乱流になります。この床のグレーチングは、開口率の違うものが幾種類かあります。開口率が小さいものは、床からの気流の落下が制限されるので、斜流や乱流になります。

 穴の形は丸だけでなく、楕円になっているものもあります。この縦長の穴と横長の穴を組み合わせ、気流の形状を垂直に近づけるける工夫がされています。また開口率の大きなものに変えることでも、気流の乱れを少なくする工夫ができます。

 もちろん、そのクリーンルームを作った施工業者への相談は必要です。層流方式は、清浄度の高い空気を大量に取り込み回転させます。そのことを換気回数と言いますが、電気代を中心に費用が高額になります。

 

2.乱流方式

 乱流方式は図の右側です。写真技術を用いて製品加工している工程の写真を用いたので黄色い画像になっています。紫外線をカットするため黄色い部屋になっているクリーンルームです。この色のことは徐外したうえで乱流方式のクリーンルームの特徴に着目してください。

 こちらは、天井の所々にフィルターが設置されていますが、写真のように相互の距離はかなり離れています。従って、滞留している空気や設備、作業者などの障害物がたくさんあり、乱流になります。天井の所々からきれいな空気が供給され、中の汚れを薄めていきます。正常化メカニズムは希釈型と呼ばれます。空気の流れが乱れるのは容易に想像できます。

 ここに様々な持ち込みがあったり、発塵させる行為、行動があれば希釈が間に合わず、クリーンルームという形をしたただの箱になってしまいます。電気代はかかるのに、品質は一向に改善されないということになってしまいます。高い清浄度を維持するために、全員の意識、知識は重要です。きちんと教育をしましょう。

 

 話は反れますが、黄色のクリーンルーム(イエロールームなどともいわれます)について補足します。

 この黄色の光は紫外線をカットするためです。設備のメンテナンスや現場確認などで使用する懐中電灯も、黄色のフィルターを付けたものを使います。通常のもので製品に光を当ててしまうと、製品が不良になってしまう(露光されてしまう)ので、注意しましょう。

 通常の光も、黄色のフィルターが付いたものも、室内ではなかなか判別がつきにくいです。それを知らないで使っていて、歩留まりを低...

下させていた例もあります。

 

 もう一つ事故事例を紹介します。

 普通の蛍光灯に、黄色のヒシューブ(熱収縮性チューブ)を被せ、熱をかけ蛍光管に密着させるタイプのものを使っていたところがありました。ところが、熱をかけた時に蛍光管の両端が縮み、蛍光灯の白い部分が露出し、白い光が漏れていた。それに気づかず使用していたという例です。現在ではこのような加工ではなく、蛍光管そのものが着色されているものが殆どです。しかし導入する時に様々な観点で確認する必要があります。
このような事例を知っておくことも、多面的にものを見たり、判断する時の手助けになるでしょう。

 

 次回に続きます。

                           

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