「スターター」とは

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スターター

 

現在、カーライフに関して『CASE』『MaaS』に代表される変革が始まり、ビジネスモデルが大きく変わろうとしており、自動車業界では、従来の業界の枠を超えた新たな技術への取り組みが進んでいます。

その最中にCOVID-19のパンデミクスにより世界中で社会、経済への影響が出て、クルマにも大きな変化が起こりました。

今後、ハイブリッド車や水素自動車や電気自動車に移行していくと、今作っているエンジンやミッションに使われる部品の加工の仕事は少なくなるでしょう。そして、それに代わって、モーターやバッテリーなどを製造する会社の仕事は増えるでしょう。

また、軽量化、環境負荷軽減のための軽量化素材が開発され、セルロース・ナノファイバーを使った複合樹脂の製造や加工技術などが盛んになってくると思われます。

しかし、精密部品の加工の仕事は、自動車に限ったことではないので、今後も無くならず、むしろもっと高度な加工ができる機械や技術者が必要になってくると思われます。

このような背景を踏まえて、エンジン始動時の始動装置の要であるスターターについて今回は、解説します。

 

1.「スターター」とは

内燃機関(エンジン)を始動させる装置の事をスターター(エンジンスターター)と言います。

エンジンは一定以上の回転数に達しないと各部機構が作動せず、始動に至りません。エンジン本体以外の何らかの力によって停止状態からその回転数までエンジンを回してやるのがスターターの役割です。

スターターには人力によるもの(バイクのキックスターターなど)や、外部の装置を始動時だけ接続するものもありますが、ここではエンジンに備え付けた電気モーターによって始動するスターターについて解説します。

この電気モーターによるスターターは「セルモーター」と呼ばれる事もありますが、元々の言葉の由来は「セルフスターターモーター」なので、それぞれが略称で呼ばれているだけで双方に違いはありません。バイクの場合は「セル」と呼ばれるのが一般的です。

 

2.「スターター」の役割や仕組み

一般的にスターターは、先端にあるピニオンギヤが、エンジン側のリングギヤ(フライホイール)に噛み込む事により、駆動力をクランクシャフトに伝えてエンジンを始動します。

エンジンが自力で回転を始めると、ギヤの噛み込みが自動的に外れるようになっています。

自動車の場合、下記のような流れでエンジンが始動します。

車のキーを回すと、スターターモーター内のマグネットスイッチがONになる。

マグネットスイッチがONになる事により、ピニオンギヤを押し出す。

押し出されたピニオンギヤがエンジン側のリングギヤに噛み込む。

モーターが回転し始め、ギヤを通じて駆動力がエンジンに伝わり始動する。

ギヤの噛み込みが自動的に外れる。

この際バッテリーの電気を使用するので、バッテリー上がりで電圧が下がった状態だとスターターモーター自体が動かず(または十分な回転を得られず)、エンジンを始動できません。

スターター自体は構造も動作も非常にシンプルな方式になっており、エンジンの始動時にしか使用はしませんが重要な部品です。

 

3.「スターター」のメリット

20世紀前半まではスターターモーターは無く、通常エンジンの始動には、クランク棒と呼ばれる専用の部品を回してエンジンをかけていました。クランク棒はエンジン内部のクランクシャフトに直接繋がっており、当時の自動車のエンジン始動において必要不可欠な物でした。

回すのにはコツが必要で誰にでも容易にできるものではなく、エンジンがかかるまでに時間を要していました。またクランク棒の逆回転が原因で巻き込まれる事故が発生し、怪我をしたり最悪死に至るケースもあったようです。

その後アメリカのメーカーでスターターモーターが開発され、1912年にその装置を装備した自動...

スターター

 

現在、カーライフに関して『CASE』『MaaS』に代表される変革が始まり、ビジネスモデルが大きく変わろうとしており、自動車業界では、従来の業界の枠を超えた新たな技術への取り組みが進んでいます。

その最中にCOVID-19のパンデミクスにより世界中で社会、経済への影響が出て、クルマにも大きな変化が起こりました。

今後、ハイブリッド車や水素自動車や電気自動車に移行していくと、今作っているエンジンやミッションに使われる部品の加工の仕事は少なくなるでしょう。そして、それに代わって、モーターやバッテリーなどを製造する会社の仕事は増えるでしょう。

また、軽量化、環境負荷軽減のための軽量化素材が開発され、セルロース・ナノファイバーを使った複合樹脂の製造や加工技術などが盛んになってくると思われます。

しかし、精密部品の加工の仕事は、自動車に限ったことではないので、今後も無くならず、むしろもっと高度な加工ができる機械や技術者が必要になってくると思われます。

このような背景を踏まえて、エンジン始動時の始動装置の要であるスターターについて今回は、解説します。

 

1.「スターター」とは

内燃機関(エンジン)を始動させる装置の事をスターター(エンジンスターター)と言います。

エンジンは一定以上の回転数に達しないと各部機構が作動せず、始動に至りません。エンジン本体以外の何らかの力によって停止状態からその回転数までエンジンを回してやるのがスターターの役割です。

スターターには人力によるもの(バイクのキックスターターなど)や、外部の装置を始動時だけ接続するものもありますが、ここではエンジンに備え付けた電気モーターによって始動するスターターについて解説します。

この電気モーターによるスターターは「セルモーター」と呼ばれる事もありますが、元々の言葉の由来は「セルフスターターモーター」なので、それぞれが略称で呼ばれているだけで双方に違いはありません。バイクの場合は「セル」と呼ばれるのが一般的です。

 

2.「スターター」の役割や仕組み

一般的にスターターは、先端にあるピニオンギヤが、エンジン側のリングギヤ(フライホイール)に噛み込む事により、駆動力をクランクシャフトに伝えてエンジンを始動します。

エンジンが自力で回転を始めると、ギヤの噛み込みが自動的に外れるようになっています。

自動車の場合、下記のような流れでエンジンが始動します。

車のキーを回すと、スターターモーター内のマグネットスイッチがONになる。

マグネットスイッチがONになる事により、ピニオンギヤを押し出す。

押し出されたピニオンギヤがエンジン側のリングギヤに噛み込む。

モーターが回転し始め、ギヤを通じて駆動力がエンジンに伝わり始動する。

ギヤの噛み込みが自動的に外れる。

この際バッテリーの電気を使用するので、バッテリー上がりで電圧が下がった状態だとスターターモーター自体が動かず(または十分な回転を得られず)、エンジンを始動できません。

スターター自体は構造も動作も非常にシンプルな方式になっており、エンジンの始動時にしか使用はしませんが重要な部品です。

 

3.「スターター」のメリット

20世紀前半まではスターターモーターは無く、通常エンジンの始動には、クランク棒と呼ばれる専用の部品を回してエンジンをかけていました。クランク棒はエンジン内部のクランクシャフトに直接繋がっており、当時の自動車のエンジン始動において必要不可欠な物でした。

回すのにはコツが必要で誰にでも容易にできるものではなく、エンジンがかかるまでに時間を要していました。またクランク棒の逆回転が原因で巻き込まれる事故が発生し、怪我をしたり最悪死に至るケースもあったようです。

その後アメリカのメーカーでスターターモーターが開発され、1912年にその装置を装備した自動車が販売される事になります。

クランク棒が不要になり、エンジン始動が容易かつ安全になったことにより、それから自動車は瞬く間に普及していきます。それまで自動車は男性が乗るものとされていましたが、女性でも安心、気軽に運転可能な便利な乗物へと変貌していきました。

 

自動車が普及するにつれレースも開催されるようになり、エンジンや車体、足回りの性能も向上し、車内の環境も快適に整備されるようになりました。

そして様々な国のブランドからさまざまな特徴を持った多様な車種が発売され、競い合いながら自動車の文化は発展していく事となりました。

スターターモーターの開発により、自動車がこれまで抱えてきた取扱いの難しさと危険性の大きなひとつがクリアされ、誰もが移動手段、または趣味・嗜好品として使える「自動車の大衆化」への分岐点となったのでした。

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この記事の著者

嶋村 良太

商品企画・設計管理・デザインの業務経験をベースにした異種技術間のコーディネートが得意分野。自身の専門はバリアフリー・ユニバーサルデザイン、工業デザイン、輸送用機器。技術士(機械部門・総合技術監理部門)

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