現場で実際にクリーン化活動を始めると、いろいろなことに気づきます。そこで、手当たり次第に着手してしまうと混乱してしまい、収拾が付かなくなります。特にありがちなのは、クリーン化とはこんなことだろうと表面だけ捉え、着手してしまう例です。
また、単に掃除のことだろうという思い込みもまだまだあるので、クリーン化を理解し、手順を確認しながら進めましょう。次のステップに進んで、それまでのステップでの進め方が不十分だと思えば、そこに戻ればよいのです。どのような順序で取り組んでいけばよいかを下図を使い概略を説明します。詳細は後に回しますので、全体像をご確認ください。
図.クリーン化活動のステップ展開
この3ステップで進めると、今どこをやっているのか、何をやっているのか確認できるので活動がやりやすいです。あまり細か過ぎたり、ステップが多いと混乱してしまうので、シンプルに考えましょう。この考え方は、クリーンルーム内に限ったことではありません。ものづくり現場であれば、どのようなところでも使えます。
【ステップ1:清掃、整理、整頓】
現場全体の清掃を実施します。これがスタート地点です。そして、必要なもの、不要なものを分け、不要なものは室外に出し、残ったものは、整頓します。
この徹底清掃には2つの目的があります。
① 徹底清掃し維持管理に活用
ここでは、中途半端な清掃ではなく、徹底的にやることです。徹底的に清掃することは、相当大変なことです。特に今までやったことがないとか、簡単な清掃程度で済ませていたという場合は、相当苦労するでしょう。
すると、もうあんな苦労はしたくない。もう汚したくないという気持ちになります。その心理を活用し、汚れる前に清掃する。定期的に清掃するということに繋げていく。これを標準化していくわけです。つまり、その良い状態を維持管理していくということです。
② 発生源の特定
苦労して奇麗になったのに、特定の部位が汚れるという場合があります。つまり、その付近に発生源があるのです。これまでは汚れが堆積していたので、それに気づかなかったが、今度は判別しやすいわけです。
例えば、「私の車は何だかオイルが漏れるみたい」と言って修理工場へ持っていっても、汚れ放題のところに車を置いても、なかなか見つかりません。ところが、ピカピカに磨かれた床の上に置くと、オイルが落下し、虹色に見えます。その上が発生源になります。「ああ、このチューブの継ぎ手が劣化しているね」という風になります。これは修理工場の人と一緒に見れば、自分も納得します。
“配管交換しておきました。修理代はいくらです。と言われてもピンときませんね。
現場では、発見し、それに対策を講じる。するとそこには汚れが付着しなくなるという改善の効果が見えます。発生源の特定、改善・対策、効果・成果の一連のやったことが繋がるのでやりがいがあるでしょう。その発生源を見つけ対策を取っていくのは次のステップになります。
このステップを纏めると、
- 徹底清掃により、もう汚したくない、あんな苦労をしたくないという心理を活用し、汚れる前に清掃する。そして定期的な清掃をすることで、維持管理に繋げていくということ。
- どんなに奇麗にしても、部分的に汚れるところが見えてくる。それ...
このステップでは、徹底清掃がポイントですが、安全最優先で進めることが最も重要なことです。「さあ大掃除をしなさい」といきなり号令をかけてしまうと、あちこちでケガや事故が起きてしまうかも知れません。
清掃などは重要な仕事という認識は薄いことに加え、あまりやりたくないという人も多いでしょう。すると、“私はクリーン化をやったためにケガをした”という被害者意識が増幅し、だんだん距離を置くようになってしまいます。全員活動ではなくなってしまいます。そうならないために、安全教育をまずやっておくことです。
この安全教育については次回にします。