クリーン化活動の進め方 クリーン化について(その51)

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 前回も述べましたが、清掃などは重要な仕事という認識は薄いことに加え、あまりやりたくないという人も多いでしょう。すると、“私はクリーン化をやったためにケガをした”という被害者意識が増幅し、だんだん距離を置くようになってしまいます。全員活動ではなくなってしまいます。そうならないために、安全教育をまずやっておくことです。今回は、安全教育の解説します。

 

クリーン化

図.クリーン化活動のステップ展開

 

 ここでハインリッヒの法則に触れておきます。安全教育などを受講された方はご存じだと思いますが、復習の意味でご確認ください。

 

ハインリッヒの法則

図.ハインリッヒの法則(重要なことは知っているだけでなく、活用することです)

 

 ハインリッヒの法則は、米国の損害保険会社のハインリッヒという人が唱えた法則です。1件の重大な事故や災害が発生したとすると、その背後には29件の微小な事故、災害が発生する可能性がある。その背後には300件のヒヤリハットが存在するというもので、1:29:300の法則ともいわれます。災害の出現率のような捉え方です。

 これを知っているという方は多いでしょう。でもそれだけにとどめず、活用していただきたいのです。“知っている”というのはひとごとで終わってしまうかも知れません。そしてヒヤリハットだったものが、微小災害になり、やがて大きな事故、災害に繋がってしまうかもしれません。自分のこと、自分の職場のこととしてとらえると、具体的な行動に繋がります。

 例えば、作業者の話を聞いていたら、今日の朝掃除の時、作業台や設備の下に潜ったら、頭を打ちそうになった。作業台を拭いていたら、隣の作業台との隙間に指が挟まって切れそうになった。あるいは、脚立に上ったら、グラグラして危なかった。このような話があったら、これはヒヤリハットです。放っておくと微小災害だけでなく、大きな災害に繋がるかも知れません。その時点できちんと再教育をしましょう。

 具体的には、薬品を使った清掃では、必ず保護メガネ(できればゴーグル型の方が良い)、薬品用の前掛け、エプロンをする。脚立に上る場合、脚立が広がらないよう必ずロックし、一人は脚立の脚を捕まえ支える。電装系は担当者以外は触らないなど、その現場で必要なことは、あらかじめ指導、教育しておく。また、言っただけでなく、巡回し不具合があればその場で指導することが重要です。後で指導しようと後回しにすると忘れてしまったり、訴える力が弱くなってしまいます。

 ある会社にクリーン化診断・指導に行った時、安全について話す機会がありました。

 次に訪問した時に、作業標準書を見せてもらったところ、その標準書の一番上に、“やらなければいけない”こと、あるいは“やってはいけないこと”が書いてあり、そこには安全のことが記してありました。 “この作業開始前に必ず保護メガネをすること!”という風に。安全最優先の意識であり、その仕組みの一部です。

【良くある微小災害の例】

 カッターナイフの扱い中に手を切る事故。これはかなり多いようです。特に指導の必要を感じていないのでしょう。でも、単に切り傷程度で終わらず、深く切って出血が止まらない。あるいは筋を切ったと言う例も聞いています。もしかすると、一度や二度そのような経験をした方も多いのではないでしょうか。潜在的にはかなり多いでしょう。

 セロテープ台を使ってのテープを切る場合、ギザギザの部分で手を切ることもあります。あるいは、何かを切った、その切り屑を吹き飛ばしたところ、向かいに遮蔽物があり、跳ね返って自分の目に入った。ドアの開閉の時向こう側の人にぶつかったなど、身の回りには数えきれないほどのヒヤリハットがあり、その先には微小災害が出番を待って待機しています。

 安全第一という掛け声だけでなく、実際に自職場の点検を行いたいです。子供たちの通学路の安全確認を、子供たちの目線で実施しているように。

 水や純水で作業台を拭く場合、薬品は使用していないので油断しがちです。ところが拭いた水が跳ね返り目に入った。その水の中に金属粉や様々な異物が含まれていて炎症を起こし、眼科にかかったとか。このようなことも労働災害になるかも知れ...

 

 

 前回も述べましたが、清掃などは重要な仕事という認識は薄いことに加え、あまりやりたくないという人も多いでしょう。すると、“私はクリーン化をやったためにケガをした”という被害者意識が増幅し、だんだん距離を置くようになってしまいます。全員活動ではなくなってしまいます。そうならないために、安全教育をまずやっておくことです。今回は、安全教育の解説します。

 

クリーン化

図.クリーン化活動のステップ展開

 

 ここでハインリッヒの法則に触れておきます。安全教育などを受講された方はご存じだと思いますが、復習の意味でご確認ください。

 

ハインリッヒの法則

図.ハインリッヒの法則(重要なことは知っているだけでなく、活用することです)

 

 ハインリッヒの法則は、米国の損害保険会社のハインリッヒという人が唱えた法則です。1件の重大な事故や災害が発生したとすると、その背後には29件の微小な事故、災害が発生する可能性がある。その背後には300件のヒヤリハットが存在するというもので、1:29:300の法則ともいわれます。災害の出現率のような捉え方です。

 これを知っているという方は多いでしょう。でもそれだけにとどめず、活用していただきたいのです。“知っている”というのはひとごとで終わってしまうかも知れません。そしてヒヤリハットだったものが、微小災害になり、やがて大きな事故、災害に繋がってしまうかもしれません。自分のこと、自分の職場のこととしてとらえると、具体的な行動に繋がります。

 例えば、作業者の話を聞いていたら、今日の朝掃除の時、作業台や設備の下に潜ったら、頭を打ちそうになった。作業台を拭いていたら、隣の作業台との隙間に指が挟まって切れそうになった。あるいは、脚立に上ったら、グラグラして危なかった。このような話があったら、これはヒヤリハットです。放っておくと微小災害だけでなく、大きな災害に繋がるかも知れません。その時点できちんと再教育をしましょう。

 具体的には、薬品を使った清掃では、必ず保護メガネ(できればゴーグル型の方が良い)、薬品用の前掛け、エプロンをする。脚立に上る場合、脚立が広がらないよう必ずロックし、一人は脚立の脚を捕まえ支える。電装系は担当者以外は触らないなど、その現場で必要なことは、あらかじめ指導、教育しておく。また、言っただけでなく、巡回し不具合があればその場で指導することが重要です。後で指導しようと後回しにすると忘れてしまったり、訴える力が弱くなってしまいます。

 ある会社にクリーン化診断・指導に行った時、安全について話す機会がありました。

 次に訪問した時に、作業標準書を見せてもらったところ、その標準書の一番上に、“やらなければいけない”こと、あるいは“やってはいけないこと”が書いてあり、そこには安全のことが記してありました。 “この作業開始前に必ず保護メガネをすること!”という風に。安全最優先の意識であり、その仕組みの一部です。

【良くある微小災害の例】

 カッターナイフの扱い中に手を切る事故。これはかなり多いようです。特に指導の必要を感じていないのでしょう。でも、単に切り傷程度で終わらず、深く切って出血が止まらない。あるいは筋を切ったと言う例も聞いています。もしかすると、一度や二度そのような経験をした方も多いのではないでしょうか。潜在的にはかなり多いでしょう。

 セロテープ台を使ってのテープを切る場合、ギザギザの部分で手を切ることもあります。あるいは、何かを切った、その切り屑を吹き飛ばしたところ、向かいに遮蔽物があり、跳ね返って自分の目に入った。ドアの開閉の時向こう側の人にぶつかったなど、身の回りには数えきれないほどのヒヤリハットがあり、その先には微小災害が出番を待って待機しています。

 安全第一という掛け声だけでなく、実際に自職場の点検を行いたいです。子供たちの通学路の安全確認を、子供たちの目線で実施しているように。

 水や純水で作業台を拭く場合、薬品は使用していないので油断しがちです。ところが拭いた水が跳ね返り目に入った。その水の中に金属粉や様々な異物が含まれていて炎症を起こし、眼科にかかったとか。このようなことも労働災害になるかも知れません。単純な中にも見落としてはいけないことがあります。本人も嫌な思いをします。会社にとっても有形、無形の損害があります。“問題は小さなうちに芽を摘む”ということが良く言われます。恐らく経験的なものから発生した言葉でしょう。

 例えがわかり易いかどうかですが、私たちの生活環境でも毒蛇がいます。無毒の蛇の方が多いですが、無毒だから嚙まれても大丈夫かというと、排水溝などにいたネズミを食べ、その雑菌が付いた牙で噛まれ、その菌によって感染した例もあるようです。一つの事象を見たらそのままにせず、一つ先、二つ先を考え、未然防止に繋げましょう。

 

 次回は、クリーン化活動のステップ展開のステップ2を解説します。

 

 

◆関連解説『環境マネジメント』

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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