クリーンルームの方式の違いにより、クリーンルームの清浄度向上への取り組み方が違ってきます。なんでも奇麗にすれば良いのではなく、効率的、効果的に清浄度を上げましょう。今回は、クリーン度の違いによる改善の仕方について解説します。
◆ クリーン度の違いによる改善の仕方
図.クリーン度の違いによる改善の仕方
上図のグラフの左は、清浄度が低い乱流方式のクリーンルーム、クラス1000としてあります。また、中央のクラス100、右のクラス10はいずれも層流方式のクリーンルームです。乱流方式と層流方式に大別し説明します。同一の設備をそれぞれのクリーンルームへ配置したとします。
左の清浄度の低いクリーンルームは、清浄化メカニズムは乱流方式であり、それだけでも層流方式より清浄度は下がります。加えて、作業者が多く配置されているので、人(環境)起因のゴミが多く発生します。昔から“人はクリーンルーム内での最大の発生源、汚染源”と言われる所以です。注意していても発生してしまうのです。
一方で、中央および、右の層流方式のクリーンルームは、設計上は天井全面から床全面に向かう垂直な気流によって、ゴミが浮遊しにくくなっています。また、人が発生源、汚染源であるので、その人の配置を最小限にし、人がやっていた作業は搬送システムや運搬ロボットに、設備への除給材も専用のロボットに置き換えられています。
この違いにより、清浄度の低い乱流式のクリーンルームでは、人を含む環境からの発塵に加え、設備からの発塵もあります。この両方から改善していくことが重要です。セミナーなどの場で、“毎日清掃しているのに毎日ゴミが出るのはどうしてか”という質問が出ることがあります。
上記の理由から乱流方式では避けられない問題です。手抜きをするとそれらのゴミが蓄積します。そのことを理解し、クリーンルームの清浄度の維持、管理をしていきましょう。
層流方式では、乱流方式と同じ設備を設置したことが前提なので同程度の発塵ですが、環境起因は極端に少なくなります。この場合は、設備発塵に着目し、改善していくことが重要です。
【層流方式の欠点】
人が限りなく少なくなっているので、設備の異常に気が付かなくなることです。気が付いたら大変なことになっていたという場合もあります。人は一人で2個の目玉、5人いれば10個の目玉でものを見ています。目の周りには数万と言われる神経が集まっているとのことですから、目から入る情報は非常に多いわけです。それがなくなってしまうので、日常的な発見が遅れるわけです。
このようなクリーンルームの場合、作業者だけでなく、管理職、クリーン化担当、保全担当がクリーンルームに入る機会があれば、意図的に設備に着目し、早期発見に努めることが大切です。もちろんこれらのメンバーが揃ってクリーンルームに入ると、清浄度が低下するので、あくまでも単独、または少...
さらに、定期的な清浄度のわずかな変化、パーティクル起因の品質状況の変化などから現場を監視することも重要です。
特に清浄度の高いクリーンルームでは、わずかな変化をどう捉えるかが重要です。データを見る側も、小さな変化を見逃さず、敏感に反応したいものです。先のメンバーの連携、情報交換もクリーンルーム管理では重要になります。
次回に続きます。