【この連載の前回へのリンク】
前回に続き、清掃に関連した事例を紹介します。
クリーンルーム内で、保全メンバーが履く安全靴タイプのクリーンシューズです。左と右の底の色は、製品による違いです。このように、靴底が見えるようにかけておくと、汚れ具合がわかります。
日ごろ、脱いだり、履いたりを繰り返しても、靴の裏を見ることは少ないでしょう。その靴の裏も、クリーンマットと同じように、クリーンルームの奇麗さのバロメータとして活用できます。靴の裏が汚れていていれば、
- 定期的なクリーニングに出していないかも知れません。
- そのメンバーの担当する設備周辺が汚れているのかも知れません。
これらから、原因究明をしていけばよいです。
クリーニングに出していない場合は、何か理由があるのかも確認しましょう。いきなり犯人扱いではなく、理由を聞き出すことです。
自分の靴だけ汚れているのを見れば、次回からはきちんとルールを守ってくれるでしょう。汚れがひどい場合は、そのメンバーの担当部分が汚れているのかも知れません。
または、その保全メンバーの作業の仕方が良くないのかも知れません。あるいは、保全作業後、その設備やエリアを清掃とかクリーニングしてないかも知れません。
その場所を一般作業者も通行する場合は、広範囲に拡散してしまいます。
その先を考えると、
- 全員で清掃しなければいけない。(時間、工数の損失)
- 全員のシューズをクリーニングに出さなければいけない(クリーニング費用UP)
- グリスなどの汚れなら、そして多量なら、クリーニングもやりにくいかも知れません。
- 最悪の場合は、品質にも影響するかも知れません。
このように、様々な影響が考えられます。
この工夫は、早いうちに異常を発見し、問題になる前に芽を摘みたいということです。保全メンバーの発案ですが、予防保全の考え方を取り込んでいます。クリーンマットと同じように、防塵シューズを奇麗さのバロメータとして活用しているのです。
多くのことは、その予兆を感知し、予防、未然防止に努めることが重要です。早い段階でその芽を摘む...
ということです。
何度も指摘がありながら、そのままにしておいて、そのうち大きな問題に発展するかも知れません。工場全焼により、そして船の沈没により、多くの人が亡くなっています。恐らく、多くの方が心を痛めたのではないかと思います。事業の継続、持続にも当然影響します。
次回に続きます。
◆関連解説『環境マネジメント』