【この連載の前回:クリーン化について(その90)掲示についてへのリンク】
局所排気と局所クリーンを混同されている方がいます。局所排気については解説しましたので、今回は、局所クリーンについて解説します。
図.クリーンルームの方式と特徴
ある乱流式のクリーンルームに入った時、局所排気の話をしたことがあります。ところが、うちはそんなに高い清浄度はいらないというのです。色々話をしているうちに、話の食い違いに気が付きました。
それは、局所排気と局所クリーンが混同しているのです。このまま話を終えてしまうと良くないので、両者のことを説明したのでした。このようなことは、他にもいくつか経験しました。従って、潜在的にはもっと多いと思います。
クリーンルームの運転で最も費用が掛かるのは電気代です。層流方式のクリーンルームは、換気回数を多くし、高い清浄度を確保していますので、電気代はかなり高くなります。そこで、換気回数を減らす。例えば0.1μmでクラス1,500程度に落とす。そのうえで、製品はこのクリーンルームの環境に触れないよう、工夫された密閉容器に入れる。
クリーンルーム内では、ロボットが搬送し、設備への給材、除材が行われる。この容器内の製品は、人を介さず、直接設備とやり取りをする。つまり、周囲の雰囲気に触れずに、製品を清浄な容器から直接清浄度の高い設備に取り込む。あるいはその逆に、設備から直接製品容器に戻す。
簡単に言うと、宇宙船と宇宙ステーションをドッキングさせ、そこを往来するようなイメージです。
クリーンルームは換気回数を減らし、電気代を減らす。しかし製品だけは、高い清浄度の環境を流動させるということです。
このようなクリーンルームには、作業者もほとんど目につかない。しかし良く観察すると、清浄度を落としている分、浮遊塵、落下塵は確認できる。また、ロボットなどの搬送設備によって気流も起きるので、床に堆積しているものも舞い上がる。特にロボットの後方に乱流が起き、それが飛散、浮遊するので、清浄度管理、現場の観察、定期的な清掃は欠かせない。そして発生源対策も継続していく。
クリーンルーム管理の基本は同じです。
この他に、ベイ方式もあります。局所クリーンの仲間です。ベイ方式はプロセスの各エリアを局所的に高い清浄度に保持する構造です。人が...
配置されますが、製品が流動する上部から清浄度の高い空気を落下させます。この設備のエリアは清浄度が高く設定されています。そこを製品は流動されます。人の配置エリアは、清浄度が少し低いです。つまり人からの気流の影響は受けないということです。ただ、この方式はかなり少なくなってきていますので、簡単な説明にとどめます。
次回に続きます。
◆関連解説『環境マネジメント』