なぜ、「言語データ解析」なのか (5) 【快年童子の豆鉄砲】(その9)

 

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その8)なぜ、「言語データ解析」なのか (4)へのリンク】

6.なぜ「言語データ解析」なのか、まとめ

現在私たちが経験しているパラダイムシフトの中身を解き明かし、経営者、ミドルマネジメント、スタッフに求められているニーズから、言語データ解析の必要性をこれまで4弾にわたってご説明してきました。そのまとめに際し、違った側面からの必要性も含めてご説明させて頂きたいと思います。

 

1)パラダイムシフトが生むニーズシフトへの対応は言語データ解析

先ず、4弾にわたってご説明してきたこのテーマですが、ここで簡単にまとめますと、次のようになります。

 

即ち、「パラダイムシフトが経営に求める“真の意味の全員参加経営”、市場創造のための“市場予測”、競争力の核確立のための“自社の真のコア・コンピタンスの把握”、新しい経営活動対象理解のための“文化社会の把握”、製品に求められる“高魅力度”、そして、品質を始めとする企業内諸問題の根源追及のための“職場体質の把握”と言ったテーマの解決には、過去のパラダイムに軸足を置く数値データ解析では埒が明かず、言語データ解析でなければ対処できない。」ということです。

 

蛇足を承知で付け足しますと、上記は、決して数値データ解析を否定するものではなく、パラダイムシフトにより求められるようになった上記のようなテーマに限った話であり、課題解決の色んなステップで、数値データ解析が重要な位置づけを占めることはいうまでもありません。

 

2)「手段の目的化」からの離脱に欠かせない

日本の産業界は、第二次世界大戦で壊滅的な被害を受けた後の混乱期、米GHQの管轄のもと、アメリカ主導ながら、日本的なものを加味しつつ、欧米に追い付こうと、死に物狂いの試行錯誤を重ねえた結果、ジャパンアズナンバーワン、と言われるまでに成長した状態の延長線上に現在があります。

 

ただ、混乱期を脱して今日の状態に至るために必要とされた手段は、目指すところに到達した後の次の段階に進むために必要とされる手段としては機能しないにも関わらず、活動のベースが依然として従来の手段であることが現在の停滞の源ではないかと思われます。

 

と言いますのは、欧米に追い付くための経営、品質不良、クレームの発生を前提にした品質管理、故障することを前提にした設備管理、と言った諸手段は、現状に至るまでのもので、それらをベースにした修正策では、次のステップには機能しないと言うか、きわめて非効率であると言うことです。

 

即ち、欧米に追い付いた後の経営には日本独自のものが求められていますし、重要度が増している品質では、品質不良、クレームの発生率がシングルppmになった今、発生率ゼロ達成のための品質管理が求められ、その品質を支える設備では、殆ど故障しなくなった設備に対する故障しないことを前提にした設備管理が求められているのです。

 

要するに、全てにおいて発想の劇的転換が求められているのですが、従前の取り組みによる成功体験で今日がある経営陣、ミドルマネジメントやスタッフには、手段の目的化、即ち、過去の成功に裏打ちされた手段を使うことが目的化され、このままではいけないと漠然と感じてはいるものの、そこから離脱した発想が難しいのが現実ではないかと思われます。

 

一方、現場の末端従業員や、対外活動の最前線に携わっている従業員は、レベル的に明確な解決策は提示できないものの、今のままでは駄目だと言うことを肌で痛切に感じているのです。そこで、彼らが肌で感じている内容を、断片的であっても、独断的であってもいいから、彼らの思いを収集し、それらを言語データとして解析することにより、経営陣も膝を打つ新しい発想を手に入れることが出来るのです。

 

先にご紹介したフレデリック・ラルーの著書「ティール組織」(注)の著者は、「未来はすぐそばに来ているのではなく、すでに現在に融合している」(P17)として、その一歩先の段階にある組織の内容を、膨大な実践的研究を通じて把握し取り纏めて紹介しています。

(注) 索引も入れると589頁もある上、内容が内容だけに読むのが大変なのですが、企業経営に携わる方にとっては必読の書だと思います。

 

ただ、この本を読んでみればわかりますが、“すでに現在に融合している未来”は、国により、産業に...

より、そして、企業により、千差万別で、一企業として取り組もうとしても取りつく島がない感じなのです。

 

そこで、その千差万別の“すでに現在に融合している未来”は、最前線において肌で感じている従業員の思いとして、断片的で独断的な形で存在しているとの考えのもと、彼らの思いを言語データとして採取・解析することにより、その企業独自の“すでに現在に融合している未来”を把握しようと言うわけです。以後、諸事例を通じて、具体的にご説明していきますので、参考にして頂ければと思います。

 

次回に続きます。

 

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