1.チェックリスト法の特徴
チェックリストというのは、あることを考える時に抜け落ちがないように、1つずつチェックしていくための一覧表のことで、海外旅行の準備品チェックリストはその代表的なものです。このようにチェックリストは、一般的にはミスを起こさないための「消極的」なものが主です。
しかし問題解決のために新しい視点を探す「積極的」なものもいくつかあります。ここでは、新しい発想を見つけるために用いられるチェックリストをとりあげます。
2.チェックリスト法の使い方
代表的な発想のチェックリストを紹介しましょう。最も有名で利用されているものはブレインストーミングの考案者オズボーンのチェックリスト法です。もともとはもっと長かったのですが、クリスマスカード用に9項目に短くされたものが今では著名になりました。
各項目の中身をマッチのアイデアで< >の中に説明します。
<オズボーンの9チェックリスト>
(1)転用……そのままで新しい用途は、他への使い道は
<着火用→マッチ棒の家>
(2)応用……似たものはないか、何かの真似は
<はし立て→円筒型マッチ>
(3)変更……意味、色、働き、音、匂い、様式、型を変える
<四角→丸・三角型マッチ>
(4)拡大……追加、時間を、頻度、強度、高さ、長さ、価値、材料、誇張
<大マッチ>
(5)縮小……減らす、小さく、濃縮、低く、短く、軽く、省略、分割
<ミニマッチ>
(6)代用……人を、物を、材料を、素材を、製法を、動力を、場所を
<木→紙マッチ>
(7)再利用…要素を、型を、配置を、順序を、因果を、ペースを
<軸入れの場所変え>
(8)逆転……反転、前後転、左右転、役割転換、靴の左右を変える
<超豪華マッチ>
(9)結合……ブレンド、合金、ユニットを、目的を、アイデアを
<占いマッチ>
発想のチェックリストをもう1つ紹介しましょう。
アメリカ・ビジネス・ライティング協会(ABW協会)のコピーライター用「アイデア開発チェックリスト」の要約です。(『広告のチェックリスト』小林太三郎編・宣伝会議より)
<ABW協会のアイディア開発チェックリスト>
(1)習慣や伝統、常態の逆を考える
(2)特徴を新語、古語、奇想語で発表する
(3)特徴が静的なら動的表現に直す
(4)その逆をする
(5)特徴や商品の通常の配列を変える
(6)特徴を次に結びつける……動き、肉体力、重さ、エネルギー、味、色、匂い、温度他
(7)特徴を次に結びつける……抽選、推理ゲーム、パズル、謎、ギフト、質問票他
(8)特徴を次の状態の引き起こしで考える……驚き、挑戦、愉快、当惑、誘惑他
(9)特徴を次に関連させる……幸福、魔法、運命、名声、因果、火、水、神秘、宇宙他
(10)特徴を次に結びつける……旅、スポーツ、余暇、性、想像、官能、動き、安全他
(11)次の点より考える……成功、達成、名誉、感謝、不調和、歪曲、誇張、意外他
(12)特徴を擬化する……人間、動物、生物、機械他
以上、オズボーンのチェックリストも、ABW協会のチェックリストも、対象の課題をより深く、広く考えるために使えるものとなっています。
3.チェックリスト法の適用分野
発想のチェックリストにはそれぞれ向き不向きがあります。オズボーンのチェックリストは品物(ハード)の発想をするのに向いています。一方...
しかし、何より発想のチェックリストは自分自身のものをつくり出すことが望ましく、その為には自分自身の発想のやり方を洗い出し、他人のものをヒントにしてつくるのがよいでしょう。