【快年童子の豆鉄砲】(その116)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(3)

 

前回の【快年童子の豆鉄砲】(その115)QCサークル活動スパイラルアップ戦略(2)からの続きです。

 

2. 何故QCサークル活動が必要なのか

QCサークル活動が非常に重要、トップマネジメントの観点からの2項目は、前々回に記載しました。ミドルマネジメントの観点からは、前回に記載しました。

 

4)社員の観点から

トップマネジメント、ミドルマネジメント双方の観点から見たQCサークルは、パラダイムシフト下の経営にとって必要極まりないもの、即ち、重要な経営手段の一つとしてご説明したのですが、社員の観点からと言うことになりますと、社員は、QCサークル活動の当事者ですので、受け取り方が全く違った形になります。

 

要するに、トップマネジメントやミドルマネジメントにとってのQCサークル活動は、経営手段の一つ、即ち、“手段”であるのに対して、当事者である社員にとってのQCサークル活動は“目的”そのものであるという根本的な違いがあるのです。

 

更に、社員が、QCサークル活動をどう受け止めているかなんですが「QCサークル活動みたいなものはいらない。社員は、与えられた仕事を一生懸命やればいいんだ」という考えの人がいる一方で「QCサークル活動は、仕事では味わえない主体性を伴った達成感、充実感を体験できるのが素晴らしい」との全く違った受け取り方が存在するのです。

 

こういった違いが生じるのは、自主性を掲げているQCサークル活動の場合、活動に「人間性」が深く関わらざるを得ないからと言えます。一方で、ここで取り上げています退社理由「自己実現を実感できる場がない」は、まさしく人間性がもろに関わっていると言えます。

 

そこで、この点を含めて、社員の人間性をどのようにとらえるのかが重要になってきますので、先ず、その点について以下にご説明しておきたいと思います。

 

① 社員の人間性をどう捉えるか

就職に際し「仕事をどう捉えるか」については、既にご紹介しています。企業内における、自分を含めた社員の人間性をどう捉えるかは、入社して実務についてから生じたテーマでした。

 

いろいろ検討しましたが、結論は「マズローの欲求5段階説」をベースにするというものでした。そして、その5段階欲求を、企業組織に当てはめてみて、どのように対処すべきか、また、その対処手段は何がよいかというアプローチをする中で手に入れた、QCサークル活動の位置づけを次項で論じてみたいと思います。

 

② 5段階欲求を企業に置き換えるとどうなるか

マズローが提唱する「5段階欲求説」は、人間はいろんな欲望を持つが、生死にかかわる「生理的欲求」が最初で、それが満たされると「安全・安定性欲求」が生じ、順次「所属・愛情欲求」「承認欲求」と進み、最終の欲求が「自己実現欲求」である、というものです。

 

では、このような欲求を持った社員が企業に身を置くとき、それぞれどのように置き換えればよいのかを考え、それぞれの欲求に対して、どのように応えていけばよいかをまとめると次の表のようになります。

 

表98-1 マズロー欲求5段階説の企業への変換と対応策

 

③ 何故QCサークル活動が必要なのか

上表にみるように、それぞれに改善提案制度が対応しているのに、何故QCサークル活動が必要なのかを、提案制度との対比でまとめると下表のようになり、その必要性が分かって頂けると思います。

 

表98-2 改善提案制度とQCサークル活動との違い

 

④ 「自己実現を実感できる場がない」に答える

以上ご説明した通り、QCサー...

クル活動は、ここで取り上げています退社理由「自己実現を実感できる場がない」に答えるものとしてふさわしいことはお分かりいただけたと思うのですが、サークル活動が難しいのは、活動状況の良し悪しで、必ずしも上表のような結論にならない点です。従って、活動を表98-2が期待するような形にすることが必要なのですが、そのようなQCサークル活動に導く方法を後述しますので、参考にして頂ければと思います。

 

TQMの観点からについては、次回にご説明します。

 

 

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