クリーン化について(その121)人財育成(その22)の続きです。
新しい年を迎えました。今回も人財育成の続きですが、その前に私なりに昨年を振り返って見ます。
新年早々からですが、少し厳しい内容になると思います。昨年は動の大谷(翔平)、静の藤井(聡太)という対照的な二人が脚光を浴びました。反面、国内海外ともに暗いニュースが多かったです。テレビでも毎日同じ報道ばかりで気が滅入ってしまいました。気が滅入るのは私だけではないでしょう。
その代表例2点に触れます。
1. 大企業の不祥事について
2023年6月に、クリーン化として2冊目を出版しました。大企業の不祥事については、出版から2~3年ほど前に、どのような構成、話題を盛り込もうかと考えていました。つまり、それほど前からすでに問題が顕在化し、気になっていたことなのです。それらの不祥事を並べてみて気がつくのは、人の命に関わる重大な内容が圧倒的に多いことです。その時にも、“まだまだ出てくるでしょう”と書きましたが、続いています。
これらを見て気になったのは、何のために、誰のために、ものを作るのか、起業した人の思いは何だったんだろうかと言うことです。私にはそれが全く見えないです。それを、はやく、はやくと圧力を掛けられ、急かされると、現場ではそれに従うしかないですね。
それが続いていたと言うことは、自分の生活を守るために仕方ない部分もありますが、一方、これではいけないと思う心の葛藤が続いてきたのではないでしょうか。人は、これではいけないと思うと行動する動物だと言われます。その気持ちを封じざるをえない人、勇気を持って行動する人いずれも葛藤していたと思います。
大手企業には沢山のサプライチェーンがあります。一旦大きな問題が発生、または表面化すれば、それらの末端にまで影響が及びます。直近の問題では数千社にものぼると報道されています。こうなるとサプライチェーンのそれぞれの企業にも死活問題です。また企業の信頼も損ねる訳ですから、影響は長引くと思います。
ものづくりの考え方、体質を変えないといけないとつくづく思います。それに関わっていた大勢の人たちが精神的に参っていたと推測しています。恐らく気持ちの中では、長く引きずるでしょうから、そのフォローも重要です。
半導体業界のこれから・・・
日本では、半導体業界が盛り返してきそうです。しかし、同時並行的に進んでいくことに、少々乱立気味だと感じます。ここには企業競争力という部分もあるので、その狭間にいる人たちも、ストレスを感じたり、精神的に参る人も出てくるでしょう。その人数はこちらも少なくないでしょう。
現場を見ずに(実態を知らずに)号令だけ掛けても、先ほどの企業の問題と同じで、成果が出ないばかりか、総合力の発揮にはほど遠い結果になってしまうかも知れません。クリーン化の指導をしてきた中でも、このような事例は沢山見てきました。
クリーン化は、すぐには成果が出るものではありませんが、すぐに成果を要求されることが少なくありません。このようなことからも、イメージだけでなく、上層部から、そして基本から教育をすべきです。その上で現場に足を運ぶことも重要なのです。そうでないと足並みが乱れるだけでなく、苦しむ人も出てきます。
2.国内の政治の問題
これは昨年後半から特に顕著に出てきた問題ですので、...
これはドラマであり、実態とは違うのでしょうが、共感できる内容があります。ストーリーは毎回同じ感じですが、黄門一行が地方と言う現場を行脚、そこで事件に巻き込まれ、そして事実を把握したのち、悪事を働いていた悪代官や、お城の中枢の人たちを捕まえ、政は民のため、領民のためにあると言います。どっちを向いて仕事をしているのだと叱る訳です。これも、地方という現場に足を運んでわかることです。
江戸時代から現在の政治に至るまで、進歩していないのではないかと思ってしまいます。
今回の自動車大手メーカーの例もそうですが、会社、役員などと現場が乖離していたとの反省も出てきています。会社と現場が一体となったものづくり活動をしないと、バラバラになってしまいます。現場とはその場に現れると書きます。従って、現場に足を運ぶことは重要なのです。
今年はこれからの企業のあり方を模索し、また明確にしていく年だと思います。企業変革元年としたいですね。私も長年現場を歩き、体質が変化していく企業と、旧態依然と言うところを見てきました。少し改善するだけでも良くなるだろうにと思いながらも、今までのやり方を続けていくんだと言われると、さみしい思いをした時もありました。
これから現場改善だけで無く、経営者、管理職の皆さんも含めて必要とされるところがあれば、お手伝いしたいです。
クリーン化はどのようなものか、企業の生産活動にはどのように関わっているのかをご存じない方もまだまだ多いと思います。それを知っている企業は、クリーン化で現場改善をし、品質、利益確保に注力しているでしょう。そして何も知らなかったと言うところとは、様々な面で差がついてしまうのです。クリーン化を理解し、もっと早く取り込んでおけば良かったという企業もあります。その事をより多くの方と対面で伝えていきたいと思います。少人数のところでも、遠慮無くお声がけいただき、私の思いを直に伝えたいです。これが今年の私の抱負です。
私も年々体力、気力が落ちています。早いうちに、少しでも多くの方に伝えたいと思っています。日本のものづくり企業に貢献できることがあれば、私に取って幸せなことです。
人財育成の中で、セミナーについては次回にします。
【参考文献】
清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
同 電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
同 「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年