「仕事で必要な技術文書は書ける」と考えていても内容が明確に伝わらない技術文書を書いてしまうことも多々あります。今回は、伝えること、書くことの意識を会社全体で高めるを解説します。
1. 技術文書を書くことと入社後のこと
新人のとき、技術文書の書き方を上司や先輩から指導してもらった経験はありませんでした。また、講師を招いての技術文書の書き方に関する社員研修もなかったですし、技術文書の書き方に関するセミナーに出席したこともありませんでした。上司や先輩の書いた技術文書、例えば、業務報告書や会議の資料などを参考にしたり自分で書き方を考えたりして様々な技術文書を書きました。
逆に、部下を持ったときには部下に対して技術文書の書き方を指導したことはありませんでした。
これまで学校などで文書や文章を書いていたので会社としても「仕事で必要な文書(技術文書)は書ける」と思い、社員に対して技術文書の書き方の指導やそのレベルアップの指導をしなかったのだと思います。私自身も同じ考えでした。このようなことは私が在籍していた会社だけのことではなく他の会社でもあることだと思います。
「仕事で必要な文書(技術文書)は書ける」と考えていても内容が明確に伝わらない技術文書を書いてしまうことがあるのが現状です。
2. 「『伝えること』と『書くこと』」の意識を会社全体で高める
「技術者に必要な3つの力(その1)と同(その2)」で「伝える力と書く力」に関する記事を掲載しました。このような内容の記事を掲載したのは技術者にとって「『伝えること』と『書くこと』」が重要だからです。伝える力と書く力は技術者に必要な技術力の一つと考えることもできます。
技術文書はコミュニケーションの手段です注1)。内容が明確に伝わる技術文書を書くことで、会社の人や顧客など様々な関係者との間で技術文書を通した円滑なコミュニケーションが取れます。円滑なコミュニケーションを取ることで仕事も円滑に進みます。
内容が明確に伝わらない技術文書(わかりにくい技術文書)を書くと様々なことが起こります注2)。
「『伝えること』と『書くこと』は技術者にとって重要なことである」ということを技術者個人が認識するだけではなく、会社全体でこのことを意識することでクライアントに質の高い技術力が提供できます。
注1):「“技術文書を書くこと”について考える(その1)」を参照
【関連文献紹介】森谷仁著、「マンガでわかる技術文書の書き方」、オーム社、令和4年3月25日
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