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直交表には実に多くの種類がありますが、主な直交表とそれによって評価できる因子水準の種類と数を下の表1に示します。
表1.主要な直交表と評価できる水準
一般的には、2水準/3水準とその混合系の直交表が利用されます。5水準系や、完全には直交していない殆直交表などもあり、それぞれ有効な場面もありますが、使用頻度は多くないようです。
リアル(現物)実験では、30サンプル程度規模までの実験が通常の限界で、それ以上の直交表が使われることはなかなかなく、半導体プロセスなど大掛かりな実験ではさらに小さい直交表を使わざるをえません。一方で、条件設定変更が容易で計算時間も短いシミュレーション実験では、L54やL108という大きなサイズの直交表も頻繁に使われます。ただし制御因子を大きな直交表に割り付け、さらに誤差因子を外側に割り付けると、パラメータ水準変更の回数がとてつもなく増えるため、水準自動設定、結果自動記録のソフトウェアを使った方が合理的です。
それでは主なそれぞれの直交表に関して、特徴と用途を挙げてみます。
1.2水準系直交表
(1) L4直交表
長所:とにかく小さいので、手軽に使える
短所:繰り返し数が少ないために、結果の信頼性が低い
適用:サンプルあたりの実験時間、費用が非常に大きい、もしくは実験期間が極めて短い場合。
ただし時間がないと言っていながら小さい実験では結局解決せず、何度も繰り返すケースが多々あり...
(2) L8直交表
長所:サイズが小さすぎず大きすぎず使いやすい。要因が7個評価できる。反復数も十分で信頼性がある。1列使って交互作用の効果を評価することが可能。3列使って4水準も割り付け可能。
短所:想定外の交互作用があると、制御因子の効果と交絡して(分離できずに)間違った結論を出す危険性がある。
適用:実に手ごろな直交表。
(3) L12直交表
長所:サイズ、繰り返し数が適当。
交互作用が一つの列に集中しないので大きな失敗が少ない。
実験効率がそこそこ大きい(211/12=171倍)
短所:交互作用が評価できない。
3水準、4水準が一切組めない。
(4) L16直交表
長所:実験効率が高い(215/16=2048倍!)
繰り返し数8で信頼性充分、欠測値があっても結構精度が確保できる。
4水準を組んでも多くの因子を評価できる。
短所:大きなシステムでは16回の実験実行に苦労する。
特に15因子をフルに使うと、複雑な水準の設定を間違えそう。
かなり気合を入れて、注意深くする必要あり。
2.3水準系直交表
(1) L9直交表
長所:3水準では最小の直交表
水準繰り返しも3回あってまずまず。
短所:4つの因子しか評価できない。
実験効率小さい(34/9=9倍)
(2) L27直交表
長所:実験効率が高い(313/27=59049倍!)
繰り返し数9で信頼性ばっちり、しかも3水準。
短所:3水準13因子フルに使う実験はあまりない。
27サンプルを別仕様で作るのはかなりの労力を要する。
3.混合系直交表
(1) L18直交表
長所:サイズ、水準繰り返し数が適当。
交互作用が一つの列に集中しないので、誤った結論に至りにくい。
6水準が1因子組み込める。
実験効率がそこそこ(21×37/18=243倍)。
短所:交互作用が評価できない。
大きなシステム実験では18回の実験やサンプル作りが若干大変。
以上のように各直交表ごとに特性があるため、使い分けて使用します。
よく「直行表」と間違えて表記されているのを見ますが、「直交表」ですので注意してください。
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計算式にロックをかけていませんので、少し勉強すれば他のサイズの直交表向けに自分で作りかえることも可能です。
ここで出てくる18組み合わせ行下の「B・M」は「Bench Mark (ベンチマーク)」の頭文字です。たとえば現行の組み合わせが「1 2 2 2 3 1 1 3」だとすると、これは直交表の18通りの組み合わせ中に存在しません。実験時に直交表が示す18通りに加えて、このB・Mの組み合わせも測定することで、現行の特性との比較が可能となります。
もちろん現行条件以外でも、何らかの理由で評価したい組み合わせがあれば、この行を使うことができます。
もしこのワークシートや、直交表に関して不明の点があれば、当サイトの「コミュニティ」「問い合わせ」機能を使って質問してください。
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