TOC(セオリーオブコンストレイント:制約論理)

 TOC(セオリーオブコンストレイント:制約論理)は、イスラエル人の故エリアフゴールドラット氏によって説かれた考え方です。ボトルネック(制約)に着目した手法は、製造での在庫管理やスケジューリングの改善の一つとして広く活用されています。課題解決や問題解決の考え方にもこれは応用ができ、シンキングプロセスとしていくつかの著書を残しています。このシンキングプロセスについて解説します。大きく以下の5つのステップになります。それぞれのステップでの概要もあわせて記します。
 

1.現状ツリー:現状把握をする

(ア)いま起きていることをホワイトボードなどに箇条書きに可能な限り洗い出し、関連性のある事項を矢印で結んでいきます。
(イ)複数の事項が、その結果してある1つの事柄に結びつくこともあります。
(ウ)最終的には、ある1つの大きな問題・課題に行きつきます。
 

2.未来ツリー:近未来の状況を考える

(ア)次に、いまの課題・問題が解決されたと仮定して、この結果どう改善・改良されるのか、箇条書きにできるだけ洗い出し、関連性のある事項を矢印で結びます。
(イ)最終的には、矢印がある目的に行きつくことになります。
 

3.前提条件ツリー:前提条件を考える

(ア)それでは、それをするためにおこなうべき事柄を考えます。
(イ)上記をするためには、一体なにをするのかを考えます。
(ウ)その際、それを阻害する事項もあわせてそれぞれ考えます。
 

4.対立解消ツリー:2つの対立する事柄の解決を考える

(ア)阻害する事柄を考える際、目的達成のために2つの対立する要因が現れた場合その阻害要因がなぜ起こるのかを考え、この2つの対立の解消方法を考えます。
(イ)そして、それぞれ2つの発生原因についても考えてみます。
(ウ)この、相反する発生原因を明確にして、これを解消できる方法を考えます。
 

5.移行ツリー:現状からの移行について考える

(ア)阻害要因が解消された後、では現状からどのようにして目的に到達できるかを可能な限り書き出し、それぞれを矢印で結びます。
(イ)複数の事柄の結果がある1つの事柄になる場合は、複数の事柄からある1つの事柄へ矢印が結ばれることになります。
(ウ)これをもとにしてアクションプランを作成します。
 
◆平易に言い換えますと、
 
1、いまの状況はどうなのか
2、それを、どうしたいのか
3、それでは、そのためにはなにをしなければいけないのか
4、それを阻害するものがある場合、どう解消するか
5、これを実現するための日程はどうなるのか
 ...
                                                                                  となります。
 
 問題点を洗い出し、それを関連付け、目的に対してなにをして達成するか、参加者全員の同意を得ながらロジカルにかつポイントを押さえながら展開できるツールです。
 
 このシンキングプロセスは、組織の規模が大きいほど、関わる人数が多ければ多いほど、そして問題・課題の内容が複雑であるほど、論理的に話を進めることが可能であり、時間はかかりますが、効果のある技法です。
 

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