情報の停滞は機会損失を増幅 中小メーカ向け経営改革の考察(その29)
2016-05-16
前回のその28に続いて解説します。小集団活動の会合でも情報の停滞は機会損失を増幅(その4)で記述した会議の運営法を応用しましょう。小集団活動のリーダーは会合の進め方に習熟し、活動参加構成員を導いていく責務があります。ところが、小集団活動の参加者は経験の浅い人も少なくないので、会合のテーマに関する知識が不足している人がいる場合には、関連知識の勉強会を先行させ、会合での意見交換の内容が理解できないことがないように配慮する必要があります。活動の成果を急ぎ過ぎると大部分の人は傍観者になり、能力向上は図られません。全員の能力向上が職場活性化になり、成果を上げることに結びつくでしょう。
小集団活動のリーダーはその職場の班長クラスの者が担当します。交代制でリーダーを務めることは好ましくありません。担当している業務を熟知していない経験の乏しい作業者がリーダーになって、会合で出される様々な意見をまとめ上げることは、かなりの無理があるからです。会合の運営技術は経験で得られる部分が少なくないので、リーダー会を定期的に開催して、リーダーの抱える悩みや体験を語り合い、相互啓発を図る場を持つようにします。このリーダー会の司会者は参加リーダーの交代制として、司会の仕方で会合の流れが変わることを体得し、司会の能力向上に役立てるようにします。
会議で発言者が少なくて困っている企業も多いようです。いかにして意見を出させるか。この場合の対策は、司会者の会議運営法に左右されるので、次のような配慮が必要です。
a. 司会者が一方的に発言して質問が出てもまともに回答していないため、意見を出しても意味がないと
諦めている企業風土になっていないでしょうか。
➡司会者の会議の運営法を見直し、質問に丁寧に答えることが教育になると考える。
b. 会議のテ-マに関して知識が不足していて、考え方をまとめることができないために発言しないので
はないでしょうか。
➡別途に必要な知識を教える機会を持つ必要があります。
c.問題にしているテーマを取り上げる目的は何か。テーマに関する情報が理解されていないため、何を
言えばよいのか迷っているのではないでしょうか。
➡会議の冒頭にテーマを取り上げる目的の説明を丁寧にし、質問を受ける。
d.会合で取り上げているテーマと、会合の参加者の立場が離れていないか。
➡情報伝達が主目的の会合では、理解を求めるための質疑応答時間を設ける。
e.出した意見に反発する人が出ても、司会者が調整しないのではないか。
➡意見を求めている時と、出された意見の得失を比較している時の区別を明らかにして、発言しやす
くする。
f.意見を述べるよう指名した人に考える猶予を与えず、すぐに他の人に回していないか。
➡会議の場に慣れていない人がいる時に起こりやすい。指名した人が発言するまで1分程度待つ辛抱
がいる。または、後で再度同じ質問をするので考えておくようにと言ってから、次の人に回し、一
巡した後で再度質問する。
g.発言した意見を司会者が取り上げず、無視するような運営になっていないか。
➡取り...
上げるに値しないような内容であっても、白板に列記して他の意見との差異が分かるように運
営する。
h.特定の人が長く発言し、他の人は発言の機会が得られないのではないか。
➡会議出席者全員に発言の機会が得られるように、発言を長々と述べる人に対して時間制限を宣言
し、発言していない人を指名して意見を求める。
i.意見の出にくい人について、アプローチに工夫が足りないのではないか。
➡例えば「このような事が考えられるが、あなたはどう思いますか」と切り口を示して、意見を出や
すくする。
j.テーマが具体的に絞り込まれていず、漠然としているため、迷っているのではないか。
➡会議の時間を短くし、きちんとまとめるために、テ-マを絞り込む事は重要です。