抜取検査で全数検査と同じ効果を出す 中国企業の壁(その29)

 
  
 
 以前開催した「トヨタ生産方式による工場生産性向上と中国展開セミナー」の中で講師の青木先生は、品質を確保するには抜取検査で全数検査と同じ効果を持たせることだと言っていました。
 
 トヨタでは数千種類の部品を使っているのですが、製品の性質上ひとつでも不良があると大きな問題に発展する可能性が大です。従って、全数検査を行い問題のないものを使いたいのが本当のところです。
 
 実際は、数千種類の部品のすべてを全数検査するだけの人も工数もないので、抜取検査で対応せざるを得ません。
 
 その抜取検査で最大の効果を発揮させるためには、品質のトレーサビリティーを100%にすることで、全数検査と同等の結果を得ることができるようにするのです。
 
 その方法は、抜取り検査の実施単位を決めておき、その実施単位の最後のワークを検査して合格だったらその単位のワークはすべて合格と判定できるようにするのです。
 
 もし、最後のワークが不合格だったら、その単位のどこかで不良に転じているので、その単位を全数チェックして合格品と不合格品に分けることを行います。そして不良対策を行い、問題なく生産ができるようにしたら、再び単位ごとの検査で品質を保証できるようにしていくのです。
 
 こうすることで、抜き取り検査で全数検査と同じ効果を得ることが可能になります。この仕組みが機能させるためには、不良品がランダムに発生するような要素があってはなりません。例えば、金型で加工する場合のワークの位置決めでは、どのように位置決めをする...
かが重要です。
 
 作業者が正しくセットする前提の位置決めでは、何かの拍子に作業者が正しくない位置にセットすることが必ず起きます。この不良はいつ発生するかわからず、今生産したのが良品でも1個前の生産品が良品である保証はありません。ですので、金型上にワークをセットするときは正しい位置にしかセット出来ないようにすることが必要になります。
 

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者