前回は保管方法について解説しました。今回は保管されたモノを移動する方法と運搬情報の扱いについて解説します。
1. 倉庫内の運搬
倉庫内の運搬に一般的に使われているのがフォークリフトです。ただし、効率を考えると必ずしもフォークリフトがふさわしいかどうかは疑問です。そもそもフォークリフトは上げ下げを目的とした荷役機器です。長距離を運搬するための機器ではないのです。
場合によっては倉庫面積がかなり広い場合があります。その広い倉庫内をフォークリフトがスピードを出して100m以上走行するのは効率面でも、安全面でもよいとは思えません。このような場合には、牽引車を使い台車を複数連結して運搬する方法を考えるべきでしょう。その台車が複数のロケーションを巡回し、製品を指定場所に格納して行くのです。
これは出荷側でも同様のことが言えます。必要な製品をいくつかのロケーションに立ち寄りそれらを集荷していきます。最終的に出荷場まで運搬することになります。
この検討過程では次の項目を考える必要があります。
- 運搬機器(牽引車かフォークリフトか)
- 運搬ルート
- 運搬量
- 走行速度
- 運搬タイミング
- 運搬情報
2. 運搬と情報
運搬についてとても大切な要素は、どういったタイミングで運搬するのか、それを運搬作業者に伝達することで効率的な運搬ができるようにする「運搬情報」の扱いです。物流作業には入出庫作業やピッキング作業があります。それらの作業はその仕事が発生したときに作業を実施しますので、大きなロスが発生しづらいと考えています。つまり、仕事がないときには別の仕事をやることで、手待ち時間を少なくできるからです。
一方で、常時運搬作業を行っている場合、広い工場や倉庫の中を走り回り、地点間を移動するロスや、手待ちのロスが発生しやすいのではないかと思います。そこで、運搬作業はできるだけ計画的に行うことでロスを防げるのではないかと考えています。
その方法のひとつが運搬情報の改善であり、一例として時刻表運搬があると思います。この時刻表運搬は、工程ごとに運搬作業者が立ち寄る時刻をあらかじめ定めておくことです。工程側は、指定時刻までに製品を出庫して移動できるよう準備しておく必要があります。また、入庫製品も同様に保管エリアに時刻...
表を設置し、指定時刻に運搬作業者が製品を届けることになります。
できれば運搬作業者は複数工程を巡回し、それぞれの工程に立ち寄りながら製品の引渡し、受け取りを実施していくとよいでしょう。まさに計画運搬の実現です。
よく工場や倉庫の中で運搬作業者を呼び出す方法がとられている場合があります。これも一つの方法だと思いますが、この場合、工程の都合で運搬作業者が動き回らなければならないことになり、結果的に非効率になりがちです。
まずは運搬情報を改善し、計画的に運搬する方法を考えましょう。