【物流BCPについて考える 連載目次】
事業継続の考え方の特徴として、理由を問わず企業が事業を停止した場合に、その停止期間がどの程度企業に影響を与えるのかを評価し、事業としていつまで耐えられるのかの目標復旧時間を設定することがあります。
◆ ビジネス・インパクト分析
影響度の評価の結果を踏まえて、継続が求められる重要業務は何かを決定し、復旧の優先順位を設定することになるのです。また併せて目標復旧時間を確保するために障害となる重要な要素(ボトルネック)を抽出することになります。こういった影響度の評価はビジネス・インパクト分析と呼ばれます。
まず主だった製品やサービスの供給停止が発生したと仮定しましょう。この時にその供給停止が企業経営に及ぼす影響を評価します。具体的には、生産量の減少、利益損失、賠償責任金額、信用失墜(顧客離れ)、資金繰りの悪化などの面から評価し、企業がどの程度までの停止期間に耐えられるのかの判断を行うのです。
この影響度評価は、事業を継続するために優先的に継続が必要となる重要業務を見極めるために必要なものになります。
配送が停止した場合の影響度評価と目標復旧時間の設定について考えてみましょう。
取引先X社は製造業であり、配送が停止すると工場の生産ラインが止まることになります。この場合、取引先に大きな損害を及ぼすことになりますが、工場には4時間程度の在庫があると推定できる場合、配送中断時間の影響は次のようになります。
- 0.5時間未満 影響はなし
- 1~2時間 影響度は小
- 3~4時間 影響度は中
- 4時間超 ...
影響度は大
したがって目標復旧時間は余裕を見て3時間と設定することになります。
取引先によってはすでにBCPを策定済みで、地震等の災害があった場合の目標復旧時間を定めている場合があります。そのデータも参考にしつつ、自社の目標復旧時間を定めることも一つのやり方です。
次回に続きます。