屋内外で発見したことからの発想事例1 -蛍光紙、牛の解体-

1.暗い部屋の片隅で蛍光紙が発光しているのを見て、X線を発見した、ドイツの物理学者 ウィルヘルム・コンラッド・レントゲン

 
 X線の発見は、現代物理学の出発点となる画期的な出来事です。発見したドイツの物理学者レントゲンの名にちなみ、X線は今でも広く「レントゲン」とも呼ばれています。

 彼がX線を発見したのは1895年です。真空にしたガラス管内に電極を封じ込め、電圧を高めると陰極線が発生し、ガラスが蛍光を発する。その現象にレントゲンは興味を持ちました。
あるとき、暗い部屋の片隅で何かが緑色に光っていることに気きます。調べてみると、バリウムの合成物を塗ったボール紙が、ガラス管から1メートル近く離れているにもかかわらず、蛍光を発しています。そして、ガラス管と蛍光紙のあいだに厚い本を置いても、紙は蛍光を発し、レントゲンは陰極線から目に見えない放射線が発せられていると考えました。

ガラス管と蛍光紙のあいだに鍵、猟銃、本、ペンや自分の手を置いてみると、くっきりその形が写し出され、手の骨の影が現れます。妻の手で試すと、やはり手の骨と指輪が写ります。彼はこの放射線にX線という名をつけましたが、これは数学で未知数を表すときに使うXにちなんだものです。
 レントゲンはこの発見によってノーベル賞を受賞しました。彼は、X線に関してどんな特許も取ろうとせず、金銭的な利益を得ることはありませんでした。また、個人の名をつけるべきではないといって、X線をレントゲンと呼ぶことにも反対しました。
 


2.手分けして牛を解体している光景を見て、流れ作業による自動車組み立て方を思いついた、アメリカのフォード自動車社長 ヘンリー・フォード

                                                                                      
 
 ヘンリー・フォードは、特権階級の乗り物だった自動車を大衆の足にしようとしていました。自動車を大量に製造して安い価格で売るためには、どうすればいいのか、フォード自動車会社の社長として、そのことがいつも頭から離れません。
 
 
  ある日、街を歩いているとき、肉屋の倉庫の扉が開いていたので、なんとなくのぞいてみました。目にした光景は牛の解体作業です。何人かの職人が手分けして、順にショルダー、ロース、フィレなどと手ぎわよく切り分けています。フォードの頭に、このやり方を解体ではなく組み立てに使ってみたらどうだろう、というアイデアがひらめきました。こうして流れ作業での自動車組み立てが始まり、フォード自動車会社の生産能力は飛躍的に拡大したのです。
 
 
 
                                                  出典:「ひらめきの法則」 髙橋誠著(日経ビジネス人文庫)

◆関連解説『アイデア発想法とは』

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